除雪車にも高齢化の波が!! 国交省が本気で除雪車の自動運転を目指すワケとは?

除雪車にも高齢化の波が!! 国交省が本気で除雪車の自動運転を目指すワケとは?

これからの季節、街で見かける機会も増える除雪車。そんな除雪車に驚くべきニュースが入ってきた。国土交通省がなんと除雪車の自動運転を始めるというのだ。自動運転といえば昨今の世界の自動車産業の基幹ともなるべく技術であるが、なぜ国土交通省が除雪車に本気を出したのか? そこには高齢化が関係していた!! 準天頂衛星「みちびき」までを用いた高齢化の波も乗り越える、最新の除雪技術に迫ります。

文:ベストカーWeb編集部/写真:国土交通省北海道開発局


■除雪車を自動運転にする意味っていったいなに?


除雪車といえば雪で覆われた道路から雪を除去する車両だ。雪国では日常的な存在であり、除雪車なしではいくら4WD比率の多い雪国でも、駐車場から外に出ることができないなんてことも。しかし除雪車、その特殊な構造もありなかなか操縦が難しい。

除雪車の自動運転化の開発を進める国土交通省北海道開発局に聞いたところ、除雪車の安全な運行のためには絶対的な経験が必要とのこと。例えば橋のジョイント(路面にあるつなぎ目)などでは、除雪車のプラウ(雪かき板)の角度を手動で調整する必要がある。そうしないとジョイントのすき間にプラウが入ってしまい、除雪車の損傷や道路に傷をつけてしまう可能性もあるとのこと。そのためには現場を知り尽くしたプロのオペレーターが経験でプラウの角度を変えている。

これだけであればプロって凄いな、という話なのだがそこには大きな問題がある。それが除雪車オペレーター不足と高齢化だ。北海道開発局によると平成17年に2500人弱いたオペレーターは、平成27年には1300人強にまで減っている。

さらに60歳以上の割合は平成17年は6%程度だったが、平成27年には16%に上がってしまった。つまりここにも高齢化が進んでいる。もちろん現在は多くのベテランオペレーターがその技術をいかし、安全で確実な除雪をおこなっている。しかし5年後、10年後を考えると後継者の育成もままならず、いつの日か除雪車の運営ができなくなってしまう!!

さらには近年の異常気象の影響もあり、北海道では冬季の通行止め件数が統計的に右上がりに増えている。つまりオペレーターは少なく、出動回数は増えるいっぽうとのことだ。長年の経験をカバーするだけの「省力化」を進める必要がある。それが今回の除雪車の自動運転化(省力化)を進める理由なのだ。


ロータリー式除雪車の操作は非常に繊細な操作が要求される
ロータリー式除雪車の操作は非常に繊細な操作が要求される

■自動運転の実証実験は2018年度より実施へ!!


除雪車の自動運転は2018年度から実際に実験が始まる計画だ。北海道開発局では冬季通行止めになる知床峠を実験路線としている。現在は知床峠の実証実験区間である全長24kmのうち、5kmの3Dマッピングを製作している。

計測車両やGPS、そして地上でのレーザー測量などから得られたデータによってこと細かなデータの収集をおこなっている。道路の線形情報だけではなく、土手の法面の傾斜なども緻密に測定し、除雪をする際の角度などのデータを自動に調整できるようにしているのだ。暴風雪時には一般車用のミリ波レーダーを使い周囲の状況を把握する工夫もあり、除雪時の安全性への配慮もしている。

2018年度に運用が始まる準天頂衛星「みちびき」のデータも今後は活用してより正確で安全な除雪に繋げる計画もある。また現在は2名乗車でおこなっているロータリー式の除雪車についても、1名でのオペレーションができるように開発がすすんでいる。

これまでは運転担当、除雪機器の操作担当がおり、機器担当は雪を飛ばす向きを手動で調整したり、ロータリーの操作をしていた。右側に家屋がある場所では左に雪を飛ばす必要があるなど、この操作も非常に経験と事前の研修などによるものが大きかった。しかし自動化がなされれば今後は運転のみをオペレーターがおこない、そのほかの操作は自動で行われる可能性もある。2マン体制の除雪がワンマンでこなせるようになり、人員の削減につながるのだ。

冬季の厳しい自然が待ち受ける北海道で、この実証実験は2020年度まで続く。全国の豪雪地帯でもオペレータが不足するなど、北海道と同様の事態は発生する可能性もあり、この実験がもつ役割は非常に大きい。自動運転というと人間の仕事を奪ってしまうなどといった意見も聞かれるが、実際にはこうして人手の足りない業務や、過疎地域での活躍などポジティブな見方もある。今後のより一層の発展に期待したい。


省力化後はこんな感じに。安全は乗車するオペレーターが確認する
省力化後はこんな感じに。安全は乗車するオペレーターが確認する

 

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