2020年8月末にヤリスクロスが登場し、さらに激戦区と化した国産コンパクトSUVカテゴリ。売れ続けているライズやC-HR、2020年6月に登場した日産キックス、そして、登場から既に7年が経過して熟成されたホンダヴェゼルなど、コンパクトSUVを検討している方にとっては、とても悩ましい状況だろう。
難しいのは、「最新車種が最良」というわけではないことだ。それぞれに魅力はあるが、癖の強さや短所もある。今回は、ヤリスクロス、キックス、ヴェゼルの3台をピックアップ。それぞれの魅力ポイントと短所についてまとめてみた。
文:吉川賢一
写真:TOYOTA、NISSAN、HONDA、ベストカー編集部
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「コスパのよさ」が光る、ヤリス クロス
ヤリスクロス最大の長所は、なんといっても「コスパの良さ」だ。ガソリン仕様が車両価格税込189.6万円(X/2WD)、ハイブリッド仕様が228.4万円(ハイブリッドX/2WD)と、他メーカーのSUVよりも、1ランク以上安い。
しかし、その魅力はコストだけにあらず。使い勝手の良いサイズ感と、卓越したハンドリングも持ち合わせているのが、ヤリス クロスの凄さだ。
トレッドを50ミリ広げた、欧州版ヤリスをベースに開発されており、走りの素性が良いのだ。1.5LのNAガソリンと1.5Lハイブリッドが用意されており、それぞれにFFと4WDを設定するなど、日本の降雪地域の需要にも、しっかりと応えている。
ネガティブな要素はないが、強いてあげれば、好き嫌いの分かれやすい欧州車チックなフロントフェイスのため、高級感はあるが、ライズやRAV4のような「分かりやすいカッコよさ」はない点だろう。
「e-POWERのパフォーマンス」がウリのキックス
車両本体価格276万円からと、やや高め設定となる日産キックス。1.2リッター3気筒ガソリンエンジンを発電機としたモーター駆動のe-POWERによる、圧倒的な動力性能が武器だ。
e-POWERによる低速域からのパワフルさは実に頼もしく、キックスは、車重が1350kgと、ノート(1220kg)よりも130kgほど重量は増えてはいるが、モーター回転数500rpmから3000rpmで発生する最大トルクによって、電動車ならではの「胸のすくような加速」を味わうことができる。
e-POWER電力発電時のノイズも対策されており、ノートe-POWERではかなり気になった、芝刈り機のような「ガー」という音は聞こえにくくなり、質感が高まった。また、きびきびとしたステアリング特性に仕立ててあるため、コーナリング時のハンドル角がビシッと決まりやすく、運転操作が楽しめるのも魅力だ。
ただし、車両価格を抑えたガソリン仕様がない点と、雪道での走行安定性が飛躍的に高まる4WDの設定がないという点、見慣れた日産車のインテリアで、新しさがない点などは、キックスの弱みだ。
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