最近はコンパクトSUVの投入が活発だ。2020年2月発売のホンダ フィットには、SUV風のクロスターが用意され、8月にはトヨタからヤリスクロスも登場した。
日本自動車販売協会連合会の集計する登録台数データでは、ヤリスクロスはヤリスに、フィットクロスターはフィットにそれぞれ含まれる。それでもトヨタによると、9月におけるヤリスクロスの売れ行きは約6700台だという(内訳はノーマルエンジン:2200台・ハイブリッド:4500台)。
フィットは9月に8922台が登録され、クロスターの販売比率は15%前後だから、フィットクロスターの登録台数は1300~1400台だ。両車の台数を比べると、約6700台を登録したヤリスクロスが圧倒的に多い。そして、これがヤリスとフィットの差をわける大きな要因ともなっているようだ。
文/渡辺陽一郎、写真/TOYOTA、HONDA
【画像ギャラリー】明暗を分けた登録台数! コンパクトSUVの競合車 トヨタ ヤリスクロスとホンダ フィットクロスターを見る
■ヤリスとフィットのクロスオーバーに大きな違い
ヤリスクロスとフィットクロスターの一番の違いは、外観のデザインだ。ヤリスクロスには「ヤリス」の名称が付くものの、ボディの外装はヤリスとは別に専用開発されている。つまり車種が異なるから売れ行きも伸びた。本来なら登録台数もヤリスとは分けて公表すべきだ。
その点でフィットクロスターのボディは、基本部分をほかのフィットと共通化している。外装パーツの装着で全幅は3ナンバーサイズになるが、グレードの一種と考えて良い。そうなるとクロスターが、中心的なグレードのホームやベーシックよりも多く売れることは考えにくい。
トヨタの販売店によると「ヤリスとヤリスクロスを比較して、後者を選ぶお客様も多い」という。ヤリスクロスの後席と荷室は、フィットなどに比べると狭いが、ヤリスよりは若干広いからだ。
ヤリスクロスの後席は、床と座面の間隔がヤリスを20mm上まわる。そのために足元の前後空間が狭くても、腰の落ち込む着座姿勢は抑えられ、ヤリスほど窮屈ではない。
リアゲートの角度も、ヤリスに比べると立てられて荷物を積みやすい。外観の違いに加えて、実用的な理由でヤリスクロスを選ぶユーザーもいるわけだ。
コメント
コメントの使い方