現在、軽自動車を製造している国産車メーカーといえば、スズキ、ダイハツ、ホンダ、日産&三菱(日産と三菱の合弁会社NMKV)となっている。
軽といえばスバルを思い出す人も多いだろう。現在ではダイハツから軽自動車のOEM供給を受けているスバルは、2012年2月まで54年間、軽自動車の自社開発・製造を行っていた。
スバルの製造した軽自動車は、小型乗用車に負けない品質、性能から“スバルクオリティ”と呼ばれて、中古車市場においては現在でも高い人気を誇っている。
なかでも群馬製作所で最後にラインオフされたサンバーは「農道のポルシェ」と呼ばれ、生産終了から約8年経った今でも中古車が高値で取引きされているのだ。
そこで、なぜいまだにサンバーの人気が高いのか? サンバーの魅力と最新の中古車事情に迫ってみた。
文/萩原文博
写真/スバル
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サンバーの生産中止から約8年も経つが……
スバルにおける軽自動車の生産は1958年に登場したスバル360がルーツとなる。フルモノコックボディにRR(リアエンジン・後輪駆動)という画期的なパッケージ、高いクオリティにより国民車として大ヒットした。
このスバル360の成功が、後のスバルクオリティと呼ばれる軽自動車に引き継がれていくことになるのだ。
スバルが製造した最後のサンバーは1998年の軽自動車の規格変更が行われた翌年の1999年2月にフルモデルチェンジを行い登場した。
他メーカーの軽トラックやバンがエンジンは運転席下にレイアウトしながらも、フロントタイヤを運転席より前に移動するセミキャブデザインに移行するなか、スバルサンバーは新規格に対応させつつ、RRの駆動方式を採用し、フルキャブボディを踏襲したのが特徴だ。
サンバートラック、バンに加えて、乗用モデルのディアスはシャシーフレーム付き新環状力骨構造のボディを新採用することで、高い安全性を確保。
さらに伝統であるフルキャブボディの採用によってクラストップレベルのカーゴスペースを確保しているのである。
フルキャブボディの採用により、規格変更によってボディサイズは大型化したものの、最小回転半径は従来モデルと同じ3.9mを実現し、取り回しのよさを誇った。
さらにエンジンを後輪の後方に配置した軽バン&トラック唯一のRRレイアウトを採用することで、フロアを低床化することができ、広くフラットな積載スペースと余裕のキャビンスペースの両立させている。
サンバートラックでは荷台長をクラス最大の1940mmとして、荷台の幅を1410mmに拡大し積載性を向上させている。また鳥居(荷台の前方部分)の形状も改良することで箱物の積載能力を向上させた。
一方、サンバーバンは、低床フロアを活かし、背の高い荷物の積載を容易にするとともに、高めに設定したサイド及びリアゲート開口部の間口により、荷物の出し入れなどの利便性向上も実現。
最大荷室長 1875mm(運転席側)、荷室幅 1320mm(2名乗車時の場合。4名乗車時は1340mm)の、クラストップレベルのカーゴスペースを確保している。
スバルが製造した最終型サンバーには改良が加えられ、全域での出力向上と燃費性能が向上した直列4気筒エンジンを搭載。自然吸気エンジンには全車電子制御燃料噴射方式を採用し、さらにスーパーチャージャーを装着したハイパワーモデルも用意していた。
ボディ後方に搭載されるエンジンにはディストリビューターレスイグニションの採用、アンダーカバーの大型化によるエンジンルームへの被水の軽減などにより、エンジンの防水性をより強化されている。
組み合わされるトランスミッションは5速MTと3速ATで、トラック系の5速MTにはローギヤよりもさらに力強いエクストラローを設定。 一方の3速ATはパワーモードシフトや登坂制御などのきめ細かい制御を行う。
サスペンションは新設計の4輪独立サスペンションを採用し、乗り心地と操縦安定性をより向上。サスペンションのアライメントの最適化も実施し、タイヤのロングライフ化も実現させている。
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