■映画とタイアップして自動車を宣伝!?
この4台のなかで、実際にスタークが乗っているのはアウディ。空港に向かう道で、自社の車、社長付きドライバーことハッピー(監督のファブローが演じている)が運転するロールスロイス ファントムVIIと競走してみたり、パーティにも颯爽とこの車で乗り付ける。
まさに“愛車”という感じでさまざまなシーンに顔を出すのだ。
また、グウィネス・パルトロウ扮する秘書ペッパーの愛車もアウディS5、ファミリー車としてアウディQ7も登場と、まさにアウディのオンパレード。
というのもアウディはこの最初の『アイアンマン』からタイアップを続けていて、『アイアンマン2』(10)にもR8がトニーの足として登場、『アベンジャーズ』(12)ではホンダのアキュラに乗っていたが、『アイアンマン3』(13)では再びR8、それもEVのR8eトロンに乗り換えている。
ダウニーJr.自身も車にはうるさいらしく、20年のニュースでは74年のBMW3.0CSを美しくカスタマイズして愛車としているというし、そのほかにもベントレーやベンツを所有しているらしい。
ちなみに、ダウニーJr.のギャラは『アイアンマン』のときは50万ドルにすぎなかったが、この大ヒットによって跳ね上がり、『アイアンマン3』のときは二桁増えて驚愕の5000万ドル!
さらに『アベンジャーズ:インフィニティ・ウォー』(18)では7500万ドル(すべて推定)、日本円にするとおよそ84憶円という天文学的な金額! トニー・スタークのようなリッチマンになったのだから、高級車や名車を何台も所有しているのは当然だろう。
話がそれてしまったが、それだけのギャラを支払われるほどのヒットシリーズになった要因のひとつにはやはり、ダウニーJr.の力が大きい。
というのも印象的なシーン、たとえばマーク1の製作プロセスやコンピュータとの会話等を、そのつど監督のファブローとともに脚本を書き直しなが撮影。スタークが唯一心を開いている秘書ペッパーとの小粋な会話等には、多くのアドリブが反映されているというからだ。
まさにダウニーJr.が演じたからこそ生まれた魅力的なトニー・スターク/アイアンマン。彼が本作で創造したこのキャラクターがシリーズの方向性を示してくれたと言ってもいい。
●解説●
トニー・スターク/アイアンマンのロバート・ダウニーJr.は、27歳のとき、チャップリンを演じた『チャーリー』(92)でアカデミー主演男優賞にノミネートされ、若い頃から演技力は折り紙付きだったが、ドラッグ問題を何度も起こし、ハリウッドではトラブルメーカーとして敬遠されていた。
本作のキャスティングのときも当然、それが問題になったのだが、監督のファブローが彼を推し続け、やっと起用が決まったのだ。
だからなのかダウニーJr.に好きなヒーローを尋ねると「『アイアンマン』に関して言えば、僕のヒーローは間違いなくジョン(・ファブロー)だ。なぜなら、彼はずっと、僕ならこの役を演じられると信じてくれた。
彼はまるで闘士のようにスタジオと闘ってくれて、僕を守ってくれたんだ。感謝しかないよ」と言っている。
ほかの候補者として、ヒュー・ジャックマンやニコラス・ケイジ、トム・クルーズたちがいたというから競争は激しかったに違いない。
そのファブローは、このトニー・スタークのキャラクターを創る上でテスラ社のイーロン・マスクをモデルにしたと発言。自身もロードスターを持っているくらいだし、続けてファブローがメガホンを取った『アイアンマン2』にはマスクが本人役で出演もしている。
また、本作に登場するトニー・スタークを拉致したテロ組織、テン・リングスは、21年に公開されたMCU作品、『シャン・チー/テン・リングスの伝説』で大きく取り上げられている。そうやって、それぞれの作品が緻密に繋がっているのがMCUの面白さのひとつなのだ。
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『アイアンマン』
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発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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