2002年、FD3S型RX-7の生産終了とともに日本車のリトラクタブルヘッドライト車は姿を消してしまった。おじさん世代にとって、リトラ車はお金がなくてなかなか買えなかったたし、憧れの的だった。本企画では、懐かしいリトラ車を3台ピックアップするとともに、なぜリトラ車が消えなければいけなくなったのか、今後リトラ車は二度と生まれないのか、迫ってみた。
文/ベストカーWeb編集部、写真/トヨタ、日産、ホンダ、マツダ、いすゞ
■なぜリトラブルヘッドライトは消えたのか?
リトラクタブルヘッドライト(リトラ車に省略)は、日本車ではトヨタ2000GTが初採用され、SA22C型マツダRX-7が続き、1980年代にはトヨタセリカやホンダプレリュード、AE86トレノ、日産180SX、NAロードスター、トヨタMR2などのスペシャリティカーだけでなく、ターセル/コルサ/カローラIIやファミリアアスティナなどのハッチバック車にも設定されるなど、リトラブームが巻き起こった。
そして、日本車ではFD3S型RX-7、輸入車では2005年のシボレーコルベットC5を最後に姿を消してしまった。
筆者は1970年代当時、スーパーカー少年だったがランボルギーニカウンタックやフェラーリ365GT4/BB&512BBなど、まさにスーパーカー=リトラクタブルヘッドライトだったのだ。
めんこやスーパーカー消しゴム、大木凡人司会のスーパーカーショーに見に行ったことを思い出す。そういえば、当時なかなか市販化できなかった童夢零もリトラ車だった。
なぜこんなにカッコいいリトラ車はこの世から、なくなってしまったのか? それは空気抵抗の増大や重量増、コスト増など構造上の問題点をはじめ、北米におけるライトの最低地上高規制が緩和されたことや走行時に終日点灯=デイタイミングライトの義務づけられる国が増え(今ではオートライトも義務化)、HIDライトの登場により、リトラであることの必要性が低下したことで消滅。
最も大きな理由は歩行者保護に関する法律が強化されたことだろう。ボディの突起物を減らすように設計されるようになったこと。
点灯時にヘッドライトがポップアップするリトラ車の場合、ライトONのときに歩行者と接触した際に、ポップアップしたヘッドライトやカバーに歩行者を引っかけてしまったり、歩行者に大きなダメージを与えてしまったりする恐れが高くなってしまう恐れがあるからだ。
そのほか、リトラブルヘッドライトは構造が複雑で、コストもかかる。しかもライトONの時に空気抵抗が増加するという、空気性能が重視されるようになってきた1990年代以降、デメリットが目立つようになったというのもある。
実際、新車発売から20年以上経ったNAロードスターやフェラーリ355に乗っている友人は、2台とも片目しか開かなくなってしまい、ヘッドライトを動かすモーターをオーバーホールしたという話も聞いている。
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