こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 マーチをベースにしたショートワゴン「マーチBOX」はなぜウケなかったのか?

こんなクルマよく売ったな!! 【愛すべき日本の珍車と珍技術】 マーチをベースにしたショートワゴン「マーチBOX」はなぜウケなかったのか?

 これまで日本にはたくさんのクルマが生まれては消えていった。そのなかには、「珍車」などと呼ばれ、現代でも面白おかしく語られているモデルもある。しかし、それらのクルマが試金石となったことで、数々の名車が生まれたと言っても過言ではない。

 当連載では、これら「珍車」と呼ばれた伝説のクルマや技術などをピックアップし、その特徴を解説しつつ、日本の自動車文化を豊かにしてくれたことへの感謝と「愛」を語っていく。今回は、 名車、2代目マーチの派生モデルとして誕生したマーチBOXを取り上げる。

文/フォッケウルフ、写真/日産

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■数ある派生モデルのなかでも実用性はナンバー1

 日産として初のリッターカーとして1982年に登場したマーチは、国産車のなかでも長い歴史を持ち、2022年に生産終了するまでの40年の間にさまざまな派生モデルが誕生した。

  スポーティな走りが楽しめたマーチスーパーターボ。洒落た雰囲気のオープンモデルのカブリオレ。欧州から逆輸入されたマイクラC+C。

 いずれも多くの人が使うベーシックカーとして好評を博していたマーチの魅力を継承しながら独自の世界観を主張し、マーチの歴史にその名を刻んだモデルだが、なかにはかなりマニアックだったがゆえに、「知る人ぞ知る」モデルが存在する。

 それが、1999年11月、2代目となっていたマーチのマイナーチェンジと同時にラインナップに加わった「マーチBOX」である。

コンパクトカーのマーチをベースに、リアオーバーハングを伸長することでラゲッジスペースを拡大させた
コンパクトカーのマーチをベースに、リアオーバーハングを伸長することでラゲッジスペースを拡大させた

 2代目のマーチといえば、「1992-1993日本カーオブザイヤー」をはじめ、「1992-1993RJCニューカーオブザイヤー」を受賞するなど、小型車として卓越した完成度が高く評価されたモデルである。

 日産が持つ高い技術力は、国内のみならず海外でも評価され、日本車で初めて「1993欧州カーオブザイヤー」を受賞しただけでなく、「ドイツ・ゴールデンステアリングホイール 賞カテゴリー1(1500cc以下部門)最優秀賞」、「英国ベストカーズ8000ポンド以下クラス&オーバーオール最優秀賞」、「1992英国オートデザイン金賞」など、さまざまな自動車アワードを受賞した。

 この2代目マーチがベースになっているうえに、ワゴン化されて実用性を飛躍的に高めたわけだから、それまでのマーチの派生車と同様に大きな期待が寄せられた。

次ページは : ■箱型モデルとは違うワゴンならではの使い勝手が魅力

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