もはや時代遅れ? [流れるウインカー]はなぜ減ったのか? 現在のトレンド[ダブルファンクションウインカー]とは

もはや時代遅れ? [流れるウインカー]はなぜ減ったのか? 現在のトレンド[ダブルファンクションウインカー]とは

 2014年10月の保安基準の改正で「連鎖式点灯方向指示器」が許可され、合法的に流れる、シーケンシャルウインカーが認められるようになった。しかし、一気に急増したというわけでもなく、むしろ最近では減少傾向にあるという。代わって台頭してきたのが、ダブルファンクションウインカー。それはどんなものなのか、紹介していこう。

文:ベストカーWeb編集部、写真/ベストカーWeb編集部、トヨタ、ホンダ、BMW

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■シーケンシャルウインカーが認可されてから約10年

写真は3代目「ハリアー」に搭載されたシーケンシャルターンランプ。マイナーチェンジ前
写真は3代目「ハリアー」に搭載されたシーケンシャルターンランプ。マイナーチェンジ前

 2014年10月の保安基準の改正で認可されたシーケンシャルウインカー。国連欧州経済委員会(UN/ECE)の自動車基準調和世界フォーラム(WP29)が制定した「方向指示器に係る協定規則(第6号)」に基づき、国土交通省は2014年10月に「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」のなかで、方向指示器などに関する法改正を実施、公布・施行した。

 WP29の制定を受けて世界基準に合わせるべく、国土交通省が保安基準を改正してシーケンシャルウインカーが装着できるようにしたというわけだ。

 シーケンシャルとは、英語で「連続的な」という意味。点滅するのではなく、ひとつひとつがつながるように点灯することからから、正式名称は「連鎖式点灯方向指示器」。

 通常のウインカーと同様に、点滅は毎分60回以上、120回以下となっているのでLEDの数が多いほど、早く流す必要がある。横に長く、内側から外側に流れる様子は、優雅で高級車に相応しいウインカーと感じた人が多いはず。

 世界初のシーケンシャルウインカーは1965年のフォードマスタングのリアランプにバルブ式として初採用されている。

流れるウインカーが採用された1968年式ブルーバード510SSSクーペ。日産はハミングテールと呼んでいた
流れるウインカーが採用された1968年式ブルーバード510SSSクーペ。日産はハミングテールと呼んでいた

 日本車では1968年発売の日産ブルーバードSSSクーペ(510型)が、同じくリアランプに採用しているが、どちらもウインカーと兼用で装備されていた。「ハミングシグナル」と呼ばれ、オプション設定された。

 2000年代に入ってから、シーケンシャルウインカーを採用したのはアウディA8(2014年)。トヨタブランドでは2016年12月に発売されたC-HRで初搭載。その後、アルファード(30系)、クラウン、ライズ、レクサスLX、RX、NXなどのSUVと、セダンのLSとESに採用された。

流れるウインカーはついに軽自動車まで装着されるようになった。写真はN-BOXカスタム
流れるウインカーはついに軽自動車まで装着されるようになった。写真はN-BOXカスタム

 日産はアリア、ノートオーラ、エクストレイル、ホンダはオデッセイ、N-BOXカスタム(軽自動車初)、N-WGNカスタム、ヴェゼル(e:HEVモデルのみ)、ダイハツはロッキー、タントが採用。  

マイナーチェンジでシーケンシャルウインカーからダブルファンクションタイプに変更されたハリアー後期型
マイナーチェンジでシーケンシャルウインカーからダブルファンクションタイプに変更されたハリアー後期型

 しかし、最近になってシーケンシャルウインカーは減少傾向にある。レクサスは、LX、NX、RX、ESがモデルチェンジを期に廃止して現在はLSのみ、ハリアーも最新モデルは廃止。もう時代遅れと見切ったのだろうか?

■最新のトレンドはダブルファンクションウインカー

 そのシーケンシャルウインカーにとって代わりそうなのが、ダブルファンクションウインカー。ダブルファンクションとは、デイライトとウインカーの機能を統合したもので、通常はデイライトとしてヘッドライトが透明または白く点灯し、ウインカーレバーを操作すると、操作した側のデイライトは消灯してヘッドライトが黄色に点滅する仕組みだ。

現行ヤリス。ターンランプ点灯時に、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプを消灯して切り替えるダブルファンクションタイプ。すべての光源をLEDにすることで消費電力の低減にも寄与
現行ヤリス。ターンランプ点灯時に、デイタイムランニングランプ、クリアランスランプを消灯して切り替えるダブルファンクションタイプ。すべての光源をLEDにすることで消費電力の低減にも寄与

 ハリアーやヤリス、ヤリスクロス、アクアをはじめとした最近のトヨタ車(プリウスやクラウンシリーズは不採用)は、1灯の光源でハイビームとロービームが切替できる1眼LEDヘッドランプBi-Beam(バイビーム)とダブルファンクション方式のLEDクリアランスランプ(デイライトとターンランプ共用)が採用されている。

 そのいっぽうで、ランドクルーザー300やアルファード&ヴェルファイアはなぜか流れるウインカーを採用している。

LEDターンランプ点灯
LEDターンランプ点灯

 ただし、1眼LEDヘッドランプの採用が進む一方で、アダプティブハイビームシステムが使えないといったデメリットもある。

LEDデイライト点灯
LEDデイライト点灯

 ちなみに2020年にデビューしたホンダのN-ONEは、ヘッドライト周辺を取り囲むように組み込まれたデイタイムランニングライト(昼間走行灯)を採用。スバルレヴォーグではコの字型のデイライトが、ウインカーとしての機能となっている。

 輸入車ではVW、アウディがマトリックスLEDヘッドライトとともにシーケンシャルウインカー(ダイナミックインジケーター)を採用。そのほかジャガー&ランドローバーやプジョー、シトロエンの一部車種に採用されている。

新型ミニのヘッドライトもダブルファンクション方式
新型ミニのヘッドライトもダブルファンクション方式

 どことなく優雅にみえるシーケンシャルウインカーに対して、ダブルファンクション方式はデザインがスッキリしていて新しさを感じさせる。BMWミニのように丸ライトにはピッタリだ。

 今後、デイタイムライト(昼間走行灯)の標準化に伴い、ダブルファンクション方式は増えていくことが予想される。

 例えば最新のフリードは、デイタイムとポジション、下側にハイ/ロービームを備えるマルチファンクション方式となっている。

 メーカー開発者にシーケンシャルウインカーは今後どうなるのか、聞いてみた。

 「デイライト&スモールがウインカーと切り替わるのが現在のトレンドです。それを踏まえるとシーケンシャルウインカーは今後増えていくことはないかもしれませんね。シーケンシャルウインカーは横に長くする必要があり、制御するユニットのコストがかかります。いまでは採用が始まった当時ほど新しさは感じませんし、メリットは少ないと思います」。

次ページは : ■それでもシーケンシャルウインカーを後付けしたい!

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