初期型ボクスター 水冷996カレラ…80万円からの激安ポルシェは買っても大丈夫なのか?

満足できるボクスターの中古は150万円以上

2003年にマイナーチェンジ。新デザインの前後バンパーや17インチアルミホイール、ウインカーのクリアレンズ化、マフラー形状変更、リアウィンドウが熱線入り安全ガラス製に。エンジンは無段階調整式の新型バリオカムプラスを採用し、ボクスター、ボクスターSともに8psアップ
2003年にマイナーチェンジ。新デザインの前後バンパーや17インチアルミホイール、ウインカーのクリアレンズ化、マフラー形状変更、リアウィンドウが熱線入り安全ガラス製に。エンジンは無段階調整式の新型バリオカムプラスを採用し、ボクスター、ボクスターSともに8psアップ
1999年に追加されたボクスターS。252ps/31.1kgmの3.2Lフラット6を搭載。写真は大幅なマイナーチェンジを受けた2003年モデル
1999年に追加されたボクスターS。252ps/31.1kgmの3.2Lフラット6を搭載。写真は大幅なマイナーチェンジを受けた2003年モデル

初代ボクスターの中古車情報はこちら!

 まずまず満足できるはずの初代ボクスターの価格目安は、2020年11月現在でズバリ「車両価格150万円以上」といったところである。

 もちろんこれは厳密かつ画一的に線が引けるものではなく、なかには車両価格140万円ぐらいの「程度良好な初代ボクスター」もあるだろう。

 逆に150万円以上出してもダメだった、というケースもなくはないはず。

 だがイメージとして車両150万円ぐらいを目安に、販売店の店柄・人柄と整備履歴を重視しながらあせらず探せば、トヨタルーミーの中古車を買うのと似たような予算感で、まあまあ整備履歴が良好で、変なニオイや謎のうねり音が発生していないポルシェボクスターが見つかるはずだ。

 以上は、ポルシェのなかでは「やや傍流」ともいえるボクスターの中古車に関する考察だが、ポルシェの保守本流ど真ん中である「911」であっても、格安予算で狙える中古車は存在している。

1997年に誕生した水冷の996型は?

1997年にデビューしたタイプ996。300ps/35.7kgmを発生する水冷3.4Lフラット6を搭載。いわゆる涙目型のヘッドライトが特徴
1997年にデビューしたタイプ996。300ps/35.7kgmを発生する水冷3.4Lフラット6を搭載。いわゆる涙目型のヘッドライトが特徴
ボディサイズは全長4430×全幅1765×全高1305mm
ボディサイズは全長4430×全幅1765×全高1305mm

996型911の中古車情報はこちら!

 ポルシェ911としては初めて水冷エンジンを搭載した、「タイプ996」と呼ばれる世代だ。

 それまで頑なに空冷方式のエンジンが搭載されてきたポルシェ911だったが、1990年代に入るとさすがに厳しくなる一方の排ガス規制を空冷エンジンでクリアするのは困難になってきた。

 そのため1997年、前述のとおりポルシェ911史上初めて水冷方式の水平対向6気筒エンジンが搭載されたのが、996型のポルシェ911だった。

 前期型カレラのエンジンは最高出力300psの3.4Lフラット6で、トランスミッションは6速MTまたはティプトロニックS(5速AT)が組み合わされていた。

 2001年9月発売の2002年モデルでマイナーチェンジが実施され、カレラのエンジン排気量が3.6Lに拡大されるとともに、可変バルブ機構が「バリオカムプラス」となって最高出力が320psに。同時にヘッドライトのデザインが911ターボと同形状のものに変更された。

 で、そんな996型ポルシェ911の中古車は、探そうと思えば車両価格190万円前後から見つかる。

 まぁ190万円前後というのはさすがに一部の底値物件だが、おおむね200万~240万円という「2014年式トヨタヴォクシーぐらい」の価格帯でも、そこそこの数が流通しているのだ。

 このぐらいの価格帯に属する物件の特徴は、初代ボクスターの場合とほぼ同様。すなわち「傾向としては前期型の素のモデル(ティプトロニックSのカレラ)が多いが、決してそれだけでなく、マイナーチェンジ後の後期型が含まれる場合も多い」ということである。

 そしてこれらの格安996も、初代ボクスターの格安系と同様に「基本的にはスルー推奨」となる。

 スルーすべき理由も、初代ボクスターの場合とほとんど同じ。有名な弱点である「インターミディエイトのベアリング破損問題」については、後期型正規輸入車にはポルシェ ジャパンのサービスキャンペーンが適用されており、前期型はそもそも問題が発生しにくいタイプのベアリングが使用されている。

 しかしインターミディエイト云々の問題以前に、底値系の996型911の中古車は決して「絶対に」ではないのだが、まぁ多くの場合で、外装はあちこちがくすみ、内装のレザーや樹脂部品にはスレやキズが目立つだけでなく、車内全体に謎の臭気がこもっている。

 そしてエンジンからは謎のうねり音が発生し、足回りのフィーリングも「完調な911」からはほど遠い……というニュアンスなのだ。

 仮にそういった個体を買っても「ポルシェ911らしさ」などというものはとうてい味わえず、味わおうとするならば、ざっくり見積もって100万円ぐらいの整備コストを投入しないことには難しいだろう。

コクピットはごく一部のデザインが違うのみで基本的には初代ボクスターと同じ形状のものを採用
コクピットはごく一部のデザインが違うのみで基本的には初代ボクスターと同じ形状のものを採用

次ページは : 水冷996型の満足できる中古車は290万円以上

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

S-FR開発プロジェクトが再始動! 土屋圭市さんがトヨタのネオクラを乗りつくす! GWのお得情報満載【ベストカー5月26日号】

不死鳥のごとく蘇る! トヨタS-FR開発計画は再開していた! ドリキンこそレジェンドの土屋圭市さんがトヨタのネオクラシックを一気試乗! GWをより楽しく過ごす情報も満載なベストカー5月26日号、堂々発売中!