■初代インテグラタイプR/流通台数45台 中古車相場:約128万~約890万円
続いて値上がりが目立つのが、1995年8月に登場した初代インテグラタイプRだ。搭載するB18C 96spec.Rと呼ばれる1.8L、直列4気筒DOHC VTECエンジンは、ベースとなったエンジンを傑出した高回転域の伸び、ピックアップ性能を発揮する高出力エンジンとするためにチューニングを行っている。
まずは、伸びのある高出力エンジンとするために、ピストンの形状を変更し、圧縮比を高めている。ただピストンヘッドを盛り上げるだけでなくピストンヘッド内部の肉厚を削り込み、ピストン重量を増加させることなくベースエンジンの10.6から11.1へと大幅な圧縮比アップを実現した。
そして、熱価7番の高性能白金プラグを採用することで、燃焼温度が高まる高回転域においても安定的な燃焼を確保している。
また、高圧縮比を実現した燃焼室に、より大容量の混合気を送り込むため、これまでデュアル構造だったインテークマニホールドをシングルポート化。シンプルかつ口径を広くとれるこのポートの採用により、特に高回転域の吸気量を増加させている。
さらに、インテーク側のバルブ本体の軸を細径化した上でバルブ傘部を薄くして軽量化するとともに、バルブスプリング強化と軽量化を両立するために断面を楕円とした大小径2つのスプリングを重ねる構造を採用。高回転域でのバルブジャンプを防ぎ、スムーズなバルブ追随性を実現している。
さらにフリクションの低減技術を施すことで、最高出力200ps、最大トルク18.5kgmを達成。リッター当たりの111ps、そして最大許容回転数8400回転という高回転型エンジンを実現したのだ。
現在、初代インテグラタイプRの中古車は45台流通している。中古車の価格帯は約128万~約890万円となっていて、走行距離5万km以下、修復歴無しという中古車は約480万円からと高値となっている。走行距離が7万km以上でも350万円以上と手が届かないクルマになりつつある。
■初代シビックタイプR/流通台数68台 中古車相場:約150万~約799万円
続いては根強い人気を誇る1997年8月に登場した初代シビックシビックタイプR。SiRに搭載されている1.6L、直列4気筒DOHC VTECエンジンをベースにホンダならではの高出力技術を採用したB16B 98spec.Rと呼ばれる1.6Lエンジンを搭載。
エンジンの出力向上に効果的な高回転を実現するために、バルブ系を強化。インテーク側のバルブスプリングを楕円断面の二重スプリングとし、バルブ軸径を一部細軸化し傘部をスリム化。軽量化しながら広開角・高リフトに対応する高強度を実現するとともに、高回転域でのバルブ追随性も高めている。
また、コンロッドを軽量化し、回転バランスに優れたフルバランサー8ウエイト仕様のクランクシャフトを採用することで、高回転化に対応させている。
さらに、より多くの混合気を燃焼させ高いトルクを得るために、吸排気系のパフォーマンスを高めている。吸気系は、バルブシートの開口部を60°から45°へと鋭角化し、バルブのスリム化とあわせて吸気抵抗を低減。排気系は、全体を大径化した上で、エキゾーストパイプの集合部を鋭角化。
また、サブチャンバーを追加し、プリチャンバーの大型化で流量をアップした。さらに、さらにすべてのポート内段差を、ハンドメイドで一基一基丹念に研磨する工程を設け、吸排気抵抗を一層低減させている。
加えて、吸排気系の抵抗低減にあわせ、高い回転域においても、吸気・燃焼・排気を効率良く行えるよう、バルブタイミングとリフト量もチューニングを施した。
これにより、高回転域のトルクを大きく向上させるとともに、VTEC技術とあわせ低回転域のトルクも充分に確保している。
また、燃焼効率を高める圧縮比をアップさせるため、まず、ピストンヘッドを隆起させるとともに内部を削り込み、重量を増加させることなく圧縮比をベースエンジンの10.4から10.8へアップ。あわせて熱価7番の白金プラグを採用し、燃焼温度が高まる高回転域においても安定的な燃焼を実現した。
その結果、B16B 98spec.R型1.6L、直列4気筒DOHC VTECエンジンは最高出力185ps、最大トルク16.3kgmを発生。当時自然吸気エンジン世界最高峰のリッター当たり116psを実現し、回転限界を8200回転から8400回転まで高めている。
現在、初代シビックタイプRの中古車は68台流通していて、価格帯は約150万~約799万円と幅広くなっている。
走行距離10万km以上という中古車でも新車時価格を上回る約350万円以上のプライスが付いている。価格は高いが、コンディションの見極めが難しいのが初代シビックタイプRの中古車の特徴だ。
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