2018年のF1開幕戦、オーストラリアGPは3月25日に決勝を迎え、フェラーリのセバスチャン・ベッテルが優勝。
新生トロロッソ・ホンダは、完走最下位の15位とリタイアという結果に終わったが、史上最多タイの21戦で争われる今季F1はいよいよシーズンが本格化する。
そこで、今シーズンを戦う注目チームのマシンの特徴を、F1ジャーナリストの津川哲夫氏が解説!
文:津川哲夫(ベストカー2018年4月10号)、
ベストカーWeb編集部
Photo:Getty images/RedBull Content Pool,Daimler,Ferrari
「王者筆頭候補」メルセデス AMG
- ・パワーユニット:メルセデス
- ・開幕戦成績:【予選】1位、10位/【決勝】2位、8位
今シーズン最もコンサバといえそうなのがメルセデスかも。
決して空力やメカニカル面のことを言っているのではなく、(マシン開発の)哲学そのものが、すでに“挑戦”ではなく“ディフェンス”に向けられている感があるからだ。
2017年までのアドバンテージは、少なくなっても大きく崩れることはないと判断したようで、車体も昨年の発展型。
ただし、空力がレーキエアロ(=前傾姿勢でのエアロ)に傾いているのは、新規制で消失した部分を補うためか。だとしたら、やはり保守的な開発なのでは。
メルセデスの注目点は車体よりも新パワーユニットにありそうだ。オイル燃焼規制で、ICE(エンジン)のコンセプトを変更せざるを得ないので、その結果が楽しみだ。
「王座奪回誓う赤い跳ね馬」フェラーリ
- ・パワーユニット:フェラーリ
- ・開幕戦成績:【予選】2位、3位/【決勝】1位、3位
醜いとされたハロ(頭部保護デバイス)でさえ、見事にF1車体デザインのなかに昇華してみせたフェラーリ。空力面は極めて過激に攻め込みバックエンドの効率を確実に取り戻し、2017年を超えていそうだ。
極端に前面投影面積の小さなサイドポッドのエントリーダクトは、小さいながらも上部が後方へ下がっている「受け口型」で、スラットを利用して巧みに多くの空気流を呼び込み、ハロによる空力干渉もこれでうまく削減していそうだ。
これに伴いサイドポッドは、狭く、低く、コンパクトという「2018年サイドポッド3原則」のトレンドを過激にクリアしている。
この空力の追い込みがバックエンドの不安を解消し、美しさにさえ繋がっている。
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