2020年6月に発売開始された、4代目となる新型ハリアー。前評判通り、その売れ行きは絶好調だという。早くも多くのバックオーダーを抱えているようで、納車時期も2020年内は厳しくなってきた、との情報もあるほどだ。
今回、横浜みなとみらい周辺で行われた新型ハリアー試乗会に参加し、ハイブリッド車、ガソリン車を乗り比べることができた。
果たして、試乗して分かった新型ハリアーのガソリン車とハイブリッド車の違い、そして新型ハリアーのベストバイグレードはどれか?
文:吉川賢一
写真:奥隅圭之
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新型ハリアーは上から下まで205万円差の多彩グレード展開
ハリアーのグレード構成は、ガソリンとハイブリッドそれぞれに、「S」、「G」、「Gレザーパッケージ」、「Z」、「Zレザーパッケージ」があり、各2WDと4WDの仕様がある。価格レンジは税込で299万円~504万円と、205万円もの差があり、どの仕様が良いのかは、迷うところだ。
「S」グレードは、エクステリアやインテリアを無地のプラスチック素材へ置き換えているため、せっかくのハリアーの上質な風格を損ねているようにも感じるが、あとから自分で好みのスタイルへとカスタマイズする楽しみを持っている方にとっては、適しているグレードだ。
一般的には、「G」グレード、もしくは「Z」グレードで、ハイブリッドなのかガソリンなのか、そしてレザーパッケージをつけるか否か、2WDか4WDか、といったところが、悩みどころとなる。
グレードごとの装備&価格差は?
「G」グレードと「Z」グレードで、エクステリアには大きな違いはない。異なるのは、タイヤサイズや(「Z」は225/55R19、「G」は225/60R18)、リアのルーフスポイラーのカラー、スカッフプレート、ラゲージのデッキサイドのパネルなどだ。
インテリアに関しては、「Z」グレードは高精細12.3インチワイドディスプレイの「Tコネクトナビ」を標準装備する。「G」グレードは、8インチのディスプレイオーディオが標準装備だ。
12.3インチに合わせて作られた巨大なディスプレイを見てしまうと、8インチでは余白が大きすぎて、寂しく見えてしまうが、それが気にならない方は、8インチでも充分であろう。
このふたつのグレードの価格差は52万円。パッケージングとして魅力的なのは、もちろん「Z」グレードだが、ホイールカスタムなどのドレスアップは自分で決めたい、ナビゲーションもケータイ経由でいい、という方は、「G」グレード、もしくは「S」グレードで充分だ。
ガソリンとハイブリッド大きな違いは「走りの質感」
ハイブリッドの「Z」4WDモデルに試乗したが、走り始めてすぐ、衝撃を受けた。スタート地点が、ごつごつとした石畳路だったのだが、その路面のざらつきを感じさせないマイルドな乗り心地で、何より静粛性がバツグンに高い。
他のクルマならば、ザラザラした振動とゴツゴツというノイズが聞こえてくるような道なのだが、この新型ハリアーは「ほぼ無音」だった。
段差をまたいだ際の揺れも、ボディの傾きは規制しつつも、柔らかく振動をいなす動きで、サスペンション、ダンパー、そしてボディの作りの良さを感じられる。走り始め30メートルでつくりの良さが感じられるクルマは珍しい。
トヨタ自慢のハイブリッドシステム「THS-II」は、相変わらず良い仕事をする。静粛性が高いので、路面からのノイズはほぼ排除し、路面の上を滑るようななめらかさで移動する。
キャビン周りへの制振材やドアルーフへの吸音材の追加、エンジンルームを隔てるダッシュへの全面遮音層制振材や、エンジンルームへの吸遮音材など、これでもかというほどにNV(ノイズとバイブレーション)対策をしている。
そもそも街中では、エンジンが始動するタイミングが少なく、サーというロードノイズ(それも微量だが)程度しか気にならない。エンジン始動時にペダル振動を若干感じるが、重箱の隅をつつくような大きさだ。
ガソリン車のほうは、というと、ごく微少ではあるのだが、車体全体が常に微振動している。ステアリングを握る手や、ブレーキに置いた足の裏、そしてお尻や背中などがブルブルと震える。
ハイブリッドに乗った後では、もはや「古臭さ」さえ感じてしまう。繰り返すが、その振動はごく微量であり、ガソリン車の中では、小さい部類だ。
ハイブリッドとガソリンの価格差は約60万円。ハイブリッドとガソリン車の違いは、単に燃費の違いだけでなく、加速、静粛性、乗り心地といったほぼすべての面で、ハイブリッドが圧倒する。
新型ハリアーの開発で目指していたイメージ「人の心まで優雅に満たしてくれるようなクルマ」にぴったりと沿うには、やはりハイブリッド車一択だ、と感じる。これらの動的な魅力性能をすべて享受できると考えれば、60万円の差は(決して安くはないが)受け入れざるを得ない価格であろう。
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