認知度や販売台数こそ「定番モデル」に及ばないものの、定番モデルにも負けず劣らずのいいクルマ、それが「穴グルマ」だ。
ここではカテゴリー別・人気車の陰に隠れながらも実力のある「穴グルマ」たちを、自動車評論家 渡辺陽一郎氏の解説にてご紹介!!
【画像ギャラリー】クロスビー スイフト デリカD:5… カテゴリー別「穴グルマ」たちをド定番モデルとともにチェック!!!
※本稿は2020年8月のものです
文:渡辺陽一郎/写真:ベストカー編集部
初出:『ベストカー』 2020年9月10日号
■コンパクト&ミドルサイズSUV、コンパクトカー、ミニバン…キラリ光るいいクルマたちをピックアップ!!!
人気カテゴリーとされるコンパクトSUVでは、ライズの販売が好調だが、後席の広さは最小限度だ。外観に野性的な雰囲気が感じられてカッコイイが、ファミリーカーには適さない。
その意味で注目される車種がクロスビーだ。全長はライズよりも200mm以上短く、狭い裏道でも運転しやすい。空間効率は優秀で、後席と荷室は広く、4名で乗車して荷物も積みやすい。
最低地上高は180mmだから、悪路のデコボコも乗り越えやすい。エンジンはライズと同等の直列3気筒1Lターボで、1.5L並みの性能を発揮する。家族で便利に楽しく使える。
ミドルサイズSUVではRAV4が最多販売車種だ。
4WDが中心の構成で、ノーマルエンジン車には、後輪左右の駆動力を積極的に変化させる機能も採用した。よく曲がるが、エンジンは2Lで車両重量は1600kgを超えるから、動力性能はいま一歩だ。
そこでエクリプスクロスに注目したい。1.5Lガソリンターボは、2.4L並みの動力性能を発揮して、車両重量は4WDでも1550kgと軽い。
操舵感は機敏な設定で、背の高いSUVながら軽快に曲がる。峠道ではスポーティクーペのエクリプスを連想させる走りを楽しめる。
(編集部追記:三菱自動車は9月17日、エクリプスクロスのデザイン一新とPHEVモデルの設定をアナウンス。こちらを待ってみるのもいいかも知れない。発売は2020年度内、価格など詳細は順次明かされてゆくという)
SUVと並ぶ人気のカテゴリーがコンパクトカーだ。今は新型車とあってヤリスとフィットの販売が好調だが、スポーティな上級グレードの価格はノーマルエンジン車でも190万円前後に達する。
そこでスイフトに目を向けたい。1.2LエンジンのRSは、車両重量が900kg以下と軽い。5速MT仕様も用意され、パワーを出し切る走りを満喫できる。
RSはエアロパーツなどを装着して価格は178万2000円だ。中高年齢層のクルマ好きが運転すると、自分の手足のように操れた1970~1980年代のスポーツハッチを思い出す。
息子に運転の基礎を覚えさせようと購入したら、休日にはお父さんが走りに出かけてしまう。そんなクルマだ。
ミニバンではアルファードが定番だ。売れ筋価格帯が390万~500万円の高価格車だが、2020年5/6月にはシエンタやフリードを抑えてミニバンの販売1位になった。
2020年5月にトヨタの販売体制が変わり、全店で全車を買えるようになって売れゆきが急増している。外観は存在感が強く車内は豪華で広い。ただし運転感覚の面白さは乏しい。
乗り心地は快適で安定性も悪くないが、走りは大人しく4WDの走破力も平均水準だ。
クルマ好きのユーザーにはデリカD:5を推奨したい。外観はミニバンスタイルのSUVという印象でカッコよく、悪路走破力もミニバンの最高峰だ。
エンジンはミニバンでは珍しいクリーンディーゼルターボで、実用回転域の駆動力は3.5Lのガソリンエンジン並みに力強い。全長が4.8m以内のミニバンでは、3列目シートが最も広くて快適だ。デリカD:5を何台も乗り継ぐファンも多い。
Lサイズの上級セダンでは、今年生誕65周年を迎えるクラウンが定番だ。
しかし現行型はユーザーの若返りも視野に入れてスポーティ感覚を強めた。走行安定性は向上したが、クラウン伝統の柔軟な乗り心地は薄れている。豪華なロイヤルサルーンも廃止した。
スポーツ指向を強めたクラウンを買うなら、この路線で伝統的なスカイラインを選びたい。高性能な400Rは、V型6気筒3Lターボが最高出力405馬力を発生させる。
内外装のデザインは古典的だが、ドライバーの気持ちを高ぶらせる生粋のスポーツセダンだ。
【画像ギャラリー】クロスビー スイフト デリカD:5… カテゴリー別「穴グルマ」たちをド定番モデルとともにチェック!!!
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