ポルシェといえば、言わずもがなクルマ好きでなくても1度は所有してみたい! と思うスポーツカーブランドだ。ポルシェの人気は新車だけでなく、中古車となっても健在なためなかなか値落ちしにくいのが特徴だ。
そんなポルシェでも予算100万円で手に入れることができる中古車がないかと検索してみると、なんと! 約42台もヒットする。
100万円以下のプライスが付いているポルシェの中古車のうち約73.8%を占めているのが、2002〜2010年にかけて販売されたプレミアムSUVのパイオニア、初代カイエンなのだ。
ここでは、ポルシェで最も手軽に手に入れることができる初代カイエンの中古車事情について紹介しよう。
文:萩原文博/写真:PORCHE
【画像ギャラリー】有無を言わせぬ威圧感 見る者を圧倒する存在感は相変わらずの初代カイエンの詳細チェック!!
カイエンはポルシェ初のSUV
ポルシェ初のSUVとして、初代カイエンは911、ボクスターに続くポルシェ第3のモデルレンジとして2002年9月に導入された。
VWトゥアレグと共通のシャシーを採用しているが、カイエンはエンジンを縦置きに搭載しており、多くの部分はオリジナルとなっている。
駆動方式はポルシェ・トラクション・マネージメント(PTM)を備えたフルタイム4WDシステムを採用し、スポーツカーと究極といえるオフロード性能を両立させているのが特徴。
グレードはまず導入されたのは最高出力340psを発生する4.5L、 V型8気筒DOHCエンジン+6速ATを搭載したカイエンS。そして最高出力450psを発生する4.5L、 V型8気筒DOHCターボエンジン+6速ATを搭載した最上級グレードのカイエンターボの2種類だった。
その後2003年9月には最高出力250psを発生する3.2L、 V型6気筒DOHCエンジンを搭載したベーシックモデルのカイエンを追加。この時カイエンとカイエンSには6速ATに加えて、6速MTが設定された。
初代カイエンは2010年まで販売された
そして、2006年12月にマイナーチェンジを行い、内外装の変更に加えて搭載するパワートレインの変更が行われた。
ベーシックグレードのカイエンは最高出力290psを発生する3.6L、 V型6気筒DOHCエンジンに変更され、ミッションは6速ATのみとなった。
カイエンSは排気量が4.8Lに拡大、同時に燃料噴射システムの直噴化、バリオカム・プラスの採用などにより最高出力385psまで向上。こちらもミッションは6速ATのみとなっている。
そして、最上級グレードのカイエンターボは最高出力500psを発生する4.8L、 V型8気筒ツインターボ+6速ATへと変更され、よりダイナミックな走行性能を発揮した。
2007年8月の一部改良でカイエンとカイエンSに6速MT車が再設定され、さらにカイエンターボとカイエンSの中間グレードとなるカイエンGTSを追加。
4.8L V型8気筒エンジンは最高出力405psにアップし、車高の24mmダウン、最終減速比のローギヤード化、さらに同社のスポーツモデルと同じように、電子制御ダンパーシステムとスチール製スプリングが組み合わされているのが特徴だ。
最終的に初代カイエンのグレード構成は最上級グレードのカイエンターボを筆頭にカイエンGTS、カイエンS、カイエンの4種類となった。それでは最新の初代カイエンの中古車事情を見てみよう。
購入の決め手は履歴がしっかりしていること
【ポルシェカイエンの新車価格(2003年9月時点)】
・カイエン:599万円(6MT)/659万円(6AT)
・カイエンS:800万円(6MT)/860万円(6AT)
・カイエンターボ:1250万円(6AT)
現在、初代カイエンの中古車の流通台数は約151台で3カ月前のピークだった約178台と比べると減少傾向となっている。流通している中古車の平均走行距離はこの3カ月の間約7.6万kmで横這いとなっている。
そして平均価格は3カ月前の時点では約147万円だったが、現在は約159万円まで値上がり傾向となっている。現在初代カイエンの中古車の価格帯は約58万〜約630万円と非常に幅が広い。
300万円以上の高価格帯にはターボ、そしてGTSが連なっている。
そのいっぽうで100万円以下のプライスを付けている初代カイエンは約30台で、グレードはカイエンSが約10台と最も多く、次いで3.2カイエンが約8台、そしてターボが約6台そして3.6カイエンが約5台となっている。
走行距離は5.6万〜約18.6万kmで半数以上が10万kmオーバーとなっている。ポルシェで100万円以下というプライスの中古車なのだから、これくらいのことで驚いていては購入できない。
走行距離が延びているということは、それだけ乗られていたということの証明だ。新車からの整備記録簿でこれまでのメンテンス履歴がしっかりと確認できれば10万km超の走行距離は恐れる必要はない。
しかも手放す前に前オーナーが様々な消耗品をしっかりと交換しているのであれば、しばらくは大きな出費はないという可能性も高くなる。走行距離が延びているからこそ、これまでの履歴がしっかりとしているかどうかが購入の決め手となるのだ。
修理費が車両価格より高くなるケースもある
初代カイエンのトラブルの発生箇所として多く挙げられているのが、クーラントパイプからの水漏れ。ゴム部品なので、経年劣化によるトラブルが多くなっているようで、修理代は約15万〜約30万円になるようだ。
また、デフのオイル漏れも多く発生しているとのこと。オフロード走行時に路面から出っ張った石などによってデフケースを破損した場合や、オイルシールの劣化などによってデフオイル漏れが起きるのだ。
従って購入時にクルマの下回りをチェックし、凹みなどがないかしっかりチェックしておきたい。
100万円で手に入れることができるようになった初代カイエン。
しかし新車時価格は1000万円近い高級車だ。購入価格より修理代のほうが高額になることもあるので、購入費用に加えて、修理費用も用意しておくくらいの気構えで購入したい。