なかには2年未満で消滅したモデルも! 記憶に残る個性派はなぜ3年足らずで消えた?
車という工業製品は、企画から開発、発売まで多くのコストが費やされている。しかし、それでも人気車は一握り。1代限りで消滅するモデルも少なくない。
とはいえ、発売から10年経過して今なお販売を継続している車も少なくなく、3年程度で販売打ち切りとなるのは、極めて異例だ。
本稿では、僅か3年足らずで消滅したモデルのなかから特に記憶に残る5つの個性派モデルを改めて紹介したい。
文/片岡英明、写真/TOYOTA、HONDA、SUZUKI、DAIHATSU、MAZDA
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■数奇な運命を辿って消えた悲劇のSUV
●トヨタ ヴォルツ(2002年7月〜2004年4月)
ヴォルツは数奇な運命を辿り、短期間で消滅した悲劇のクロスオーバーSUVだ。
アメリカのゼネラルモーターズ(GM)と提携していたトヨタはヴォルツを共同開発し、2002年8月に日本ではネッツ店にスプリンターカリブの後継として送り込んでいる。生産はアメリカのカリフォルニア州フリーモントにあるGMとの合弁会社、NUMMIで行う。俗に言う、逆輸入車だったのだ。
北米ではプリズム(USスプリンター)の後継、マトリックスの兄弟車と位置付けられ、ボンティアックブランドはヴァイヴを名乗った。
9代目カローラのMCプラットフォームをベースに、SUV風のボディを被せたヴォルツは1.8Lの1ZZ-FE型とスポーツツインカムの2ZZ-GE型エンジンを積んでいる。主役の1ZZ-FE型エンジン搭載車はFF車のほか、4WD車を設定した。が、個性の強いデザインや中途半端な性格が災いしたようで、販売は伸び悩んだ。
RAV4やCR-V、エクストレイルなど、日本には手強いライバルが多く、ユーザーも目が肥えている。アメリカでの好調とは対照的に、販売は低調だった。そのため、わずか1年8カ月販売しただけで姿を消している。
筆者は、発売を前にNUMMIの工場を取材したが、日本向けのヴォルツは品質検査が厳しかったし、組み立ても丁寧だった。正当に評価されず、販売を打ち切ったのは残念だ。
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