東京オートサロン2020で発表された令和最初の大物スポーツモデル、トヨタ「GRヤリス」のデリバリーが開始され、筆者は7月2日に同車を成約、そして10月12日に納車された。
筆者のGRヤリスは、納車3日目と4日目に「慣らし行脚」と称して1200kmを走破、走行距離はすでに2000kmを超えた。
本稿では実際に所有したからこそ分かったGRヤリスの「期待通り」と「期待外れ」を記していきたい。
文/永田恵一、写真/永田恵一、TOYOTA
【画像ギャラリー】慣らし運転という名の「行脚」……納車まもなく走行距離2000km突破のGRヤリスでわかった長所と短所
■GRヤリスの「期待通り」は?
筆者のGRヤリスは、ホイールやエクステリアのブラックアウトされた部分がマット塗装となる「ファーストエディション」で、グレードは1.6Lの3気筒ターボエンジン+4WD(6速MT)を搭載するトップグレード「RZハイパフォーマンス」だ。
メーカーオプションは、高性能な自動ブレーキや先行車追従型のアダプティブクルーズコントロール(以下ACC)などから構成される予防安全パッケージ、ステアリングヒーター&シートヒーター、ドアミラー画面のヒーターなどから構成される寒冷地仕様を装着。まず期待通りだった部分をあげてみたい。
●走行性能の高さ
GRヤリスは、ラリーなどモータースポーツ参戦のために産まれたモデルだけに、当然ながら走行性能は期待以上だった。
具体的に書いていくと、エンジンは1.6L・3気筒ターボでハイチューンなリッターあたり170馬力という272馬力ながら、2000回転以上回っていれば充分なパワーが出ているのに加え、クラッチの重さ&操作性も問題なく、扱いにくさはまったくない。
また、MT関係ではスタート時にクラッチミートする際にアクセルを煽る操作やシフトダウン時のブリッピング(クラッチを切ってエンジン回転を上げ、スムースにシフトできるようにする操作)を行ってくれるiMTも、賢く便利だ。
エンジンは全域で3気筒のネガはまったくなく、3000回転から3気筒ながら6気筒エンジンを思わせる重厚感あるエンジンを奏で、4000~7000回転のレッドゾーンに掛けては炸裂としか言いようがなく、痛快の一言である。
車体に関しても、高速道路では走行安定性の高さによる安心感、スピード感の少なさ、ワインディングロードでは操作に対するクルマの正確な動きが印象的で、安全ななかで運転に没頭できる。
●GT性能の高さ
ACCのスムースな先行車への追従やスタビリティの高さ、余裕ある動力性能、スポーツモデルとしては良好な乗り心地、ロードノイズ以外うるさくない点などにより、1200km行脚も距離の割に疲労は少なく、快適に移動できた。
気になる実用燃費はWTLCモード総合の13.6km/Lに対し、高速道路13~15km/L、市街地は後述する理由によりアイドリングストップをオフにして9~10km/L(WLTC市街地モード10.6km/L)。
しかし、1200km行脚では試乗してもらうためエンジンを回したことも多々あったにも関わらず10km/Lを割ることがなかったのは立派で、総合すると12~13km/Lと性能やスポーツモデルというのを考えれば及第点である。
●スポーツ性と実用性の絶妙なバランス
1200km行脚では筆者が2人掛けのリアシートに乗ることもあったが、頭上空間だけは厳しいものの、それ以外は2人が充分座れるスペースを持つ。ラゲッジスペースも公表値で171Lと小さいが、リアシートは分割可倒できるので問題ないだろう。
まとめると筆者のGRヤリスは日常での扱いやすさと実用性、86GRMNのような操作に対する高い正確さとスタビリティ、あの80スープラのようなGT性能の高さ、筆者は試していないけどマークX GRMNのようなドリフトコントロール性の高さを備えているであろう点。
つまり、トヨタのスポーツモデルの美点を集めたクルマだった!
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