ファミリー層を中心に根強い支持を受ける、3列シートミニバン。なかでも売れ筋は全高1800mm超のスライドドアを備えたクラスで、ボディサイズの割に車内が広い。
3列目シートを含めた居住性は快適で、3列目を畳めば大きな荷物も積みやすい。2列目シートの両側に装着されたスライドドアは、開閉時にドアパネルが外側へあまり張り出さず、狭い場所でも乗り降りがしやすい。
日産 セレナに、トヨタ ヴォクシー/ノア、ホンダ ステップワゴンの3強が鎬を削る同クラスのミニバンは、日常生活の中で便利に、快適に使える機能を備えることから人気を高めた。
読者の皆さんが選ぶ時も、同乗者に優しい後席の広さと座り心地、シートアレンジなどに注意していただきたい。
文:渡辺陽一郎/写真:藤井元輔
人気の秘密はプロパイロットだけじゃない!! セレナの高い基本性能
冒頭で紹介したミニバンの人気車のひとつが日産 セレナだ。初代モデルはミニバンの先駆的な存在として1991年に発売。以来26年間にわたり好調に売れている。
2016年に発売された現行セレナは、歩行者を認識できる緊急自動ブレーキや、カメラを用いたスマートルームミラーなどの先進安全装備が充実しており、国が定める予防安全性能アセスメントの最新試験項目で満点を獲得するなど、高い安全性能を有している。これは大切な家族を載せるミニバンとしては大事な要素だ。
エンジンは直列4気筒の2Lで、実用回転域の駆動力に余裕があるから、車両重量に見合う加速性能を発揮する。
また、幅広いグレードに『スマートシンプルハイブリッド』が搭載され、エコモーターが減速時を中心にした高効率な充電を行う。エンジン駆動の支援も行われ、JC08モード燃費は16.6~17.2km/Lに達する。
スマートシンプルハイブリッドは価格が割安で、車両価格はノーマルエンジン車とほとんど変わらないほか、バッテリーが小型なため、荷室を犠牲にしないことも大きな特徴だ。
このようにセレナは走りの基本性能を高めながら、ミニバンで重視される多人数乗車時の居住性、荷物の積載性、シートアレンジの使い勝手を徹底的に追求した。
3列目の「広さ」で最も優れるモデルは?
特にセレナの室内空間は、標準ボディが5ナンバーサイズに収まるミニバンでは最も広い。このメリットがよくわかるのは、多人数で乗車した時だ。
一般的にミニバンの3列目シートは、1/2列目に比べて居住性が低下するが、セレナは足元空間が十分に広い。とりわけ3列目にスライド機能を備えた仕様では、スライド位置を後端に寄せると足元の余裕を大幅に拡大できる。
身長170cmの大人6名が乗車して、2列目に座る乗員の膝先空間を握りコブシ2つ分に調節すると、その後ろの3列目に座る乗員の膝先には、握りコブシ2つ半以上の余裕が生じる。
ライバル車のトヨタ ヴォクシー/ノアとホンダ ステップワゴンで同じ測り方をすると、3列目の膝先は両車ともに握りコブシ2つ分。従ってセレナの膝先空間が最も広い。
しかも、セレナの3列目は、座面の奥行寸法(前後寸法)にも余裕を持たせて480mmを確保した。ヴォクシー/ノアの435mm、ステップワゴンの415mmに比べて大幅に長く、座面が膝の裏側までしっかりと支える。
■“最も使われる”2列目の居住性にも美点
このようにセレナの3列目シートは、頭上と足元の空間、座り心地の両方でライバル車を上まわり、着座位置の高さなども適度だから最も快適だ。1/2列目のシートは、シートがさらに大きくなって座り心地も一層快適になる。
ミドルサイズのボディは視界や取りまわし性も優れているから、セレナは運転のしやすさと多人数乗車時の快適性を両立させた。
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