歴史的な名車 レガシィツーリングワゴンを今こそ欲しい!!

歴史的な名車 レガシィツーリングワゴンを今こそ欲しい!!

 人気車というのは、時代とともに変化するもの。トヨタの商品ラインナップを見ても、フラッグシップのランドクルーザーから最小サイズのライズそしてピックアップトラックのハイラックスを加えた8モデルを用意するSUVが現在の人気車となっていることは疑う余地はない。

 しかし、現在から約25年前。バブル景気が弾けた1995年から2000年代半ばまでの人気車といえば、ステーションワゴンだった。それは車種ラインナップを見れば一目瞭然で、トヨタはクラウンエステート、カルティナ、アベンシス。日産はステージア、アベニール、プリメーラワゴン、ウイングロード。ホンダはアコードワゴン、オルティア、三菱はランサーセディアワゴン、リベロといったように充実したラインナップとなっていたのだ。

 このステーションワゴンブームを築いたモデルといえば、スバルレガシィツーリングワゴンである。なかでも1993年〜1997年にかけて販売された2代目モデルはスポーツワゴンというポジションを確立し、レガシィ一強時代の礎を作ったモデルである。

 ここでは、レガシィツーリングワゴンの歴史を振り返りつつ、レガシィ人気を不動のものとした2代目を中心に4代目モデルまでの中古車相場を見ていきたい。

文/萩原文博
写真/スバル

【画像ギャラリー】約30年の歴史に幕!レガシィツーリングワゴン 全歴代モデルを振り返る


2代目レガシィツーリングワゴンでレガシィツーリングワゴンの人気を不動のものとした。

1989年(平成元年)に登場した初代レガシィツーリングワゴン。スバルの伝統である2L、フラット4ターボのEJ20型エンジンは初代レガシィが初めて搭載した
1989年(平成元年)に登場した初代レガシィツーリングワゴン。スバルの伝統である2L、フラット4ターボのEJ20型エンジンは初代レガシィが初めて搭載した

 初代レガシィは国産車のヴィンテージイヤー(当たり年)と呼ばれている1989年(平成元年)に登場した。2020年まで販売されていたWRX STIにも搭載されていたEJ20型2L水平対向4気筒DOHCターボエンジンを初搭載し、GT呼ばれる高い走行性能を実現したモデルを設定していた。

 初代レガシィはWRC(世界ラリー選手権)参戦車として開発されたセダンがメインで、その証拠にRSという走りに磨きをかけたモデルを設定していた。しかし、モデルライフの途中からステーションワゴン人気が高まり、新車の販売台数もセダンとワゴンの比率が逆転していった。

 これまで商用車をベースとしていたライトバンが主力だった国産車市場に欧州のステーションワゴン文化を初代レガシィツーリングワゴンは根付かせることに成功したのだ。

1993年10月に発売された2代目レガシィツーリングワゴン。フラッグシップのGT系グレードはターボをツインターボ、2ステージ化された
1993年10月に発売された2代目レガシィツーリングワゴン。フラッグシップのGT系グレードはターボをツインターボ、2ステージ化された

 そして、2代目のレガシィツーリングワゴンが1993年に登場。シャシーの基本構造は先代モデルからのキャリーオーバーながら、全長が60mm延長されボディサイズが拡大した。

 しかし5ナンバーサイズをキープしながら曲げ剛性やねじり剛性を向上させると同時に軽量化も行いボディサイズの大型化や安全対策の追加による重量の増加を抑えている。先代モデルより延長された全長とホイールベースによって後席の居住性が改善されている。

 搭載されるエンジンは、フラッグシップモデルに搭載されるEJ20型2L水平対向4気筒エンジンは過給器のターボチャージャーを2個採用したシーケンシャルツインターボの「2ステージターボ」を搭載。またインタークーラーも先代の水冷式から空冷式へと変更され軽量化を達成している。

 デビュー当初2L水平対向4気筒ツインターボエンジンを搭載したGT-Bスペックの最高出力は250psだったが、1996年6月のマイナーチェンジの際に大幅な改良が加えられ、フラッグシップモデルのGT-Bの最高出力はMT車が280ps、AT車が260psまでパワーアップし、2Lターボ車として初めて280psを達成したクルマとなった。

 そして前期型で指摘されていたターボの息継ぎも改善され、スバルの販売記録を塗り替える大ヒットとなった。また、1995年8月には250Tをベースに最低地上高を高めて悪路走破性を高めたクロスオーバーモデルのグランドワゴンを設定するなどバリエーションを増やして、ニーズの多様性に対応している。

 ここでレガシィ(セダンとツーリングワゴンの合計)新車販売台数を見ると、初代が26万8367台に対し、2代目は49万5471台、その後に続く3代目は25万6849台、4代目は28万8889台、5代目が12万6525台と、2代目がいかに突出していたかがわかる。

3代目レガシィツーリングワゴンには5速MTと4速ATを設定。写真は2Lツインターボを搭載したGT-B(1998年)。MTは280psだが、ATは260ps
3代目レガシィツーリングワゴンには5速MTと4速ATを設定。写真は2Lツインターボを搭載したGT-B(1998年)。MTは280psだが、ATは260ps

 1998年6月に登場した3代目レガシィツーリングワゴンは「Mr.レガシィ」と呼ばれた桂田勝氏が開発を担当。このモデルでも5ナンバーサイズを維持しつつ、従来設定されていた2WD(FF)モデルが廃止され、全グレード4WD車となった。サスペンション形式が先代から変更されフロントはストラットのままだが、リアはマルチリンク式となった。

 搭載するエンジンはGT-Bに搭載する最高出力280psを発生する水平対向2Lツインターボをはじめ、2.5L水平対向4気筒自然吸気、2L水平対向4気筒自然吸気に加えて、2002年1月に追加されたGT30には、最高出力220psを発生する3L水平対向6気筒エンジンを搭載した。また、ポルシェデザインのエアロパーツを装着したカスタムモデルのブリッツェンを設定するなどスポーティさに加えて、上質さも追求されている。

全幅が3ナンバー化された4代目レガシィツーリングワゴン。2LターボのEJ系エンジンを積んだGTのほか、3Lの6気筒NAエンジンを搭載した3.0Rを設定
全幅が3ナンバー化された4代目レガシィツーリングワゴン。2LターボのEJ系エンジンを積んだGTのほか、3Lの6気筒NAエンジンを搭載した3.0Rを設定

 そしてレガシィツーリングワゴンの完成型となったのが2003年に登場した4代目モデル。シリーズ初の3ナンバーボディとなったが、これまで積み重ねてきた技術力が高く評価され2代目プリウスを抑えて日本カー・オブ・ザ・イヤーのイヤーカーに輝いた。2Lターボは先代のツインターボからシングルターボへと変更され、最高出力250psを発生する新開発の3L水平対向6気筒エンジンを搭載した3.0Rを設定。

 この3.0Rには運転支援システム「アイサイト」のルーツであるADA搭載車を用意するなど現在のスバル車の安全装備のルーツといえるモデル。その証拠にレガシィツーリングワゴンの後継車であるレヴォーグはこの4代目レガシィツーリングワゴンのボディサイズを意識して作られていた。まさに日本にステーションワゴン文化を根付かせたレガシィツーリングワゴンの第一章がこの4代目モデルで完結したと言えるだろう。

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