え? もう20年?? マジか… 20世紀最後のクルマvs.21世紀最新のクルマをガチ比較

え? もう20年?? マジか… 20世紀最後のクルマvs.21世紀最新のクルマをガチ比較

 クルマの進化は著しい。フルモデルチェンジして刷新されたニューモデルは、旧型よりも、多かれ少なかれ性能面で進化している。

 本企画では、21世紀に入って20年が経過したこともあり、20世紀最後のクルマと21世紀最新のクルマ、つまり現行モデルを対決させていく。

 しかし、前述のとおり、性能面だけの対決では、現行モデルの進化は著しく、その優劣は日の目を見るより明らか。20代の現役アスリートと競技を引退した40代が100m競走するようなもの。

 しかし、デビュー時のインパクト、ライバルとの力関係、存在感などは、生きた時代を元に評価していくと、意外な結果も出てくる。

 今回は20世紀最後の段階から現在も代を重ねて販売されている車種(車名変更モデルもあり)、モデル消滅したが現在その後継モデルが存在しているモデルを対象として対決・比較していく。

※本稿は2021年2月のものです。採点は10点満点。ただし、「進化」は「20世紀最後のモデル」を1点に固定
文/松田秀士、渡辺陽一郎、鈴木直也、国沢光宏 写真/ベストカー編集部 ほか
初出:『ベストカー』 2021年3月26日号

【画像ギャラリー】レヴォーグ、スープラ、ジムニー、クラウン…人気モデルの「20年前」と「今」をギャラリーでチェック!!!


■スポーツカー対決

●トヨタ スープラ(A80)VS トヨタ GRスープラ(現行)

 A80スープラはまずそのデザインが斬新だった。リアにそびえる大きなウィングがレーシーな性格を予感。当時のライバルはZ32やRX-7(FD3S)。

 ZはV6、RX-7はロータリーというように個性派が揃う。

 しかしこのウィング1枚で当時のライバルを完全に圧倒した感があった。そして獰猛さを象徴するリアコンビランプ。アクセルを踏み込めば印象どおりのじゃじゃ馬感。

 進化させた直6ツインターボの2JZ-GTEエンジンは低速からでもトルクがあり高回転でもパワフルだった。

 アクセルでクルマの向きを変えられる。そのサスは前後Wウィッシュボーン式。アジリティのあるハンドリングは今走らせても楽しいのひと言。

20世紀最後のモデル(トヨタ スープラ・A80)……全長4520×全幅1810×全高1275mm、直6DOHCツインターボ、2997cc、280ps/46.0kgm、9.0kg/L(10.15モード)、448万円(RZ)
20世紀最後のモデル(トヨタ スープラ・A80)……全長4520×全幅1810×全高1275mm、直6DOHCツインターボ、2997cc、280ps/46.0kgm、9.0kg/L(10.15モード)、448万円(RZ)

 現行スープラはBMW社との共同開発でZ4とは兄弟車のようなもの。トヨタの新下山のテストコースで初めて走らせた時、とにかくフロントの舵が効くクルマだなぁ! と感じた。

 エンジンはBMW由来の直6、直4で、注目は3L、直6ターボ。補器類を含めた重量感もあるのでその走りはどこまでも操舵が入る印象。

 エンジンは中速トルクが厚く、太いリアタイヤにしっかり荷重を乗せる。リアサスはレバー比が高いせいか初期から少し硬めのフィール。逆にこれでフロントがよく入る。

 そしてボディの剛性感! 21世紀のスポーツはこのボディ造りの進化によってサスペンションの動きを高いレベルで支配下に置いている。

21世紀最新のモデル(トヨタ GRスープラ・現行)……全長4380×全幅1865×全高1290mm、直6DOHCターボ、2997cc、387ps/51.0kgm、12.0km/L(WLTCモード)、731万3000円(RZ)
21世紀最新のモデル(トヨタ GRスープラ・現行)……全長4380×全幅1865×全高1290mm、直6DOHCターボ、2997cc、387ps/51.0kgm、12.0km/L(WLTCモード)、731万3000円(RZ)

 ライバルは少なくなったがあえていうならジャガーFタイプあたり。国産スポーツクーペとしての存在感は唯一無二だ。

●採点
・20世紀最後(スープラ A80)…進化 1点/対ライバル 8点/インパクト 8点/存在感 8点
・21世紀最新(GRスープラ)…進化 8点/対ライバル 7点/インパクト 8点/存在感 8点

(TEXT/松田秀士)

●日産 スカイラインGT-R(R34)VS 日産 GT-R(R35)

 R32に始まって進化を遂げた末のR34。現在はノスタルジックさを纏うR32に注目が集まるが、ハンドリングの進化の集大成という意味で「R」の存在感は大きい。

 この時代のスカイラインGT-Rはベースが市販乗用車で、この点が現行GT-Rと大きく異なる。乗用タイプのプラットフォームゆえフロントヘビーな4WDモデルを煮詰めたことによる存在感。

20世紀最後のモデル(日産スカイラインGT-R・R34)……全長4600×全幅1785×全高1360mm、直6DOHCツインターボ、2568cc、280ps/40.0kgm、8.1km/L(10.15モード)、504万8000円(標準)
20世紀最後のモデル(日産スカイラインGT-R・R34)……全長4600×全幅1785×全高1360mm、直6DOHCツインターボ、2568cc、280ps/40.0kgm、8.1km/L(10.15モード)、504万8000円(標準)

 具体的にはホイールベース&全長を縮め車軸位置を調整。前後重量配分55:45を達成。

 R34のお披露目試乗会はオートポリス(九州)で行われたのだが、ドリフトもグリップも自在のハンドリングは今でも脳裏に焼き付いている。

 オートポリスは中高速サーキットなので、パワー、ボディ、サスのバランスのよさに感動したものだ。

 これに対して現行GT-Rは専用プラットフォーム。

21世紀最新のモデル(日産GT-R・R35)……全長4710×全幅1895×全高1370mm、V6DOHCツインターボ、3799cc、570ps/65.0kgm、7.8km/L(WLTCモード)、1232万9900円(プレミアム)
21世紀最新のモデル(日産GT-R・R35)……全長4710×全幅1895×全高1370mm、V6DOHCツインターボ、3799cc、570ps/65.0kgm、7.8km/L(WLTCモード)、1232万9900円(プレミアム)

 トランスアクスルとすることで前後重量配分に悩まされることなく、さらにエンジンをコストのかかるドライサンプ式にすることなくウェットサンプ式のまま、低重心な4WDモデルとしてでき上がった。

 38L、V6ツインターボのVR38DETTエンジンの強力な動力性能によってドイツ試乗会ではスパフランコルシャンサーキット(ベルギー)からアウトバーンで300km/hオーバーを体験。

 本誌のJARIテストでもメーター読み321km/hを記録。超高速域での安定性はフェラーリなどの欧州スーパースポーツに比肩し劣らず。世界的にも存在感は強烈だ。

 ただ進化したがプラットフォームから見直すフルチェンジが行われていないのが唯一残念。

●採点
・20世紀最後(スカイラインGT-R R34)…進化 1点/対ライバル 9点/インパクト 7点/存在感 7点
・21世紀最新(GT-R R35)…進化 10点/対ライバル 9点/インパクト 10点/存在感 9点

(TEXT/松田秀士)

●マツダ 2代目ロードスター vs マツダ 4代目ロードスター(現行)

 初代の爆発的ヒットを受けて2代目にモデルチェンジしたのが9年目。

 長いライフサイクルだったが2代目では劇的な進化はしていない。初代はバブル頂点から落ち込んでゆく時期。元気を取り戻そうとマイチェンや追加モデルを続々と発売。

 ひと息ついて冷静に見直したのが2代目だったのだが、改良点は安全上のリトラクタブルヘッドライトの廃止、リアウィンドウのガラス化。ボディも補強されグラム単位の軽量化も行われている。

20世紀最後のモデル(マツダ 2代目ロードスター)……全長3955×全幅1680×全高1235mm、直4DOHC、1839cc、160ps/17.3kgm、13.0km/L(10.15モード)、217万8000円(S)
20世紀最後のモデル(マツダ 2代目ロードスター)……全長3955×全幅1680×全高1235mm、直4DOHC、1839cc、160ps/17.3kgm、13.0km/L(10.15モード)、217万8000円(S)

 同排気量ながらエンジンを進化させ、トレッドを5mm拡大するなどドライバビリティも同時に改良されていった。

 3代目(NC型)に移行するまで7年間のライフサイクルだったが、初代の栄光をしっかりと受け継いでいた。

 そして現行モデルは大きくなっていた3代目モデルから一気にダイエットに舵を切った。全長とホイールベースを縮め全幅はワイドに。低くコンパクトで軽量化を達成。

 ハイテン鋼などをふんだんに使用して、高剛性&軽量化を達成したのだ。

21世紀最新のモデル(マツダ 4代目ロードスター・現行)……全長3915×全幅1735×全高1235mm、直4DOHC、1496cc、132ps/15.5kgm、16.8km/L(WLTCモード)、260万1500円(S)
21世紀最新のモデル(マツダ 4代目ロードスター・現行)……全長3915×全幅1735×全高1235mm、直4DOHC、1496cc、132ps/15.5kgm、16.8km/L(WLTCモード)、260万1500円(S)

 エンジンは1.5Lのみとなったが徹底した軽量化により非力に感じさせない。それよりも一般ドライバーが実際に楽しいと感じられる速度域に焦点を絞り、ハンドリングの爽快感と楽しさをリアルに感じさせてくれる。

 サーキットタイムや限界域の高さを競う他モデルとはここが大きく異なるのだ。

 このようなクルマ造りの裏には初代から踏襲している前後ダブルウィッシュボーン型式(リアはマルチリンクに進化)のサスペンションと、ステアリングギヤボックス前引きというロードスターの定義がある。

●採点
・20世紀最後(2代目ロードスター)…進化 1点/対ライバル 8点/インパクト 7点/存在感 7点
・21世紀最新(4代目ロードスター)…進化 9点/対ライバル 10点/インパクト 9点/存在感 9点

(TEXT/松田秀士)

次ページは : ■ステーションワゴン対決

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす ≫

最新号

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

マツダ6、実は水面下で開発が続いていた!? 注目新車情報、グッズが当たるアンケートも展開「ベストカー4月26日号」

終売が報じられたマツダ6はこのまま終わるのか? 否!! 次期型は和製BMW3シリーズといえるような魅力度を増して帰ってくる!? 注目情報マシマシなベストカー4月26日号、発売中!