■ステーションワゴン対決
●3代目スバルレガシィツーリングワゴン VS 2代目スバルレヴォーグ(現行型)
3代目レガシィといえば「桂田モデル」です。これといった特長こそないものの、よく売れましたね。クルマ作りにさまざまな葛藤があったと思う。
急激に厳しくなった衝突安全性対応のため、ボディ重量は100kgくらい重くなる。5ナンバーサイズのボディをキープしろ、燃費を含めた絶対的な性能を落とすな等々。
2代目は予想外の大ヒットになった初代の延長とすればよかったし(マイナーチェンジで大暴れした)、4代目になると「こうなれば思い切りやっちゃえ!」みたいな空気のなか、作られた。
一方、新型レヴォーグは思い切り作った、その4代目レガシィよりさらに大きな進化を遂げている。
そもそもプラットフォームからして大改良されているし、エンジンもブランニュー。スバルのストロングポイントになっているアイサイトまで全面刷新してます。
といった点からすれば、3代目レガシィより革新的なクルマと言っていい。何より同じ時期に販売されているクルマと比べ、新型レヴォーグは明らかにレベルが高い。
ということで優劣を決めるとすれば新型レヴォーグです。
●採点
・20世紀最後(3代目レガシィツーリングワゴン)…進化 1点/対ライバル 10点/インパクト 10点/存在感 10点
・21世紀最新(2代目レヴォーグ)…進化 8点/対ライバル 8点/インパクト 1点/存在感 1点
(TEXT/国沢光宏)
■コンパクトカー対決
●トヨタ 初代ヴィッツ VS トヨタ ヤリス(現行)
1999年に初代ヴィッツが登場した時の衝撃は大きかった。当時は初代フィットの発売前で、ホンダはロゴ、日産は2代目マーチ、マツダは初代デミオを販売していた。
初代ヴィッツは内外装が格段に洗練され、前身のスターレットとは大幅に異なる。当時輸入されていたオペルヴィータのような雰囲気で、日本車にライバル車はいないと思わせた。
特にボンネットを前方へ傾斜させた丸みのあるデザイン手法は、ミニバンには見られたが、コンパクトカーでは新鮮だった。後席にも相応の余裕があって実用性も高い。
2000年には1カ月平均で1万3000台以上が登録され、現行ヤリス(ヤリスクロスを除く)の1万1000台を上回った。
現行ヤリスも優れた商品で、衝突被害軽減ブレーキの進化とハイブリッドの燃費向上は著しい。
しかし今は後席と荷室が広いフィット、質感や静粛性を向上させたノートなどが用意され、初代ヴィッツの時代に比べて強敵が多い。
特にヤリスの後席と荷室は、今のコンパクトカーの平均水準を下回り、ライバル車との力関係も弱まった印象が強い。
●採点
・20世紀最後(初代ヴィッツ)…進化 1点/対ライバル 8点/インパクト 9点/存在感 8点
・21世紀最新(ヤリス)…進化 5点/対ライバル 5点/インパクト 5点/存在感 6点
(TEXT/渡辺陽一郎)
●スズキ 初代スイフト VS スズキ 4代目スイフト(現行)
2000年に登場した初代スイフトは、軽自動車の「Kei」を小型車に拡幅したクルマだった。
海外では初代イグニスとして販売。従ってスズキの開発者は、初代をスイフトとは呼ばない。彼らの言う初代スイフトは、日本では2004年に登場した2代目だ。
初代スイフトの内装や後席の足元空間(前後長)は、Keiとほぼ同じで、登場した時のインパクトは弱かった。
しかし発売後に追加された「SE-Z」は、1.3Lエンジンを搭載しながら価格が89万8000円と安い。当時売られていたヴィッツやマーチの売れ筋グレードより20万~30万円安。
このSE-Zは、低価格車が欲しいが、自宅の周辺に登坂路が多く、軽自動車ではパワー不足を感じるユーザーに好評だった。その意味で存在感は相応に強かった。専用の3ドアボディに1.5Lエンジンを搭載する初代スイフトスポーツも、119万円の価格が魅力だった。
現行型は内外装の質感や安定性を大幅に高めたが、RS(5速MT)の車両重量は870kgと軽い。軽快な走りと割安な価格は、現行型にも確実に継承されていると言える。
●採点
・20世紀最後(初代スイフト)…進化 1点/対ライバル 3点/インパクト 3点/存在感 5点
・21世紀最新(4代目スイフト)…進化 8点/対ライバル 6点/インパクト 4点/存在感 5点
(TEXT/渡辺陽一郎)
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