■軽自動車対決
●ホンダ 3代目ライフ vs ホンダ 2代目N-WGN(現行)
20世紀の最後に現役だったライフは1998年10月に登場。
この時には軽自動車規格が今と同じ内容に刷新され、ほぼ同時期に16車種の新型軽自動車が発売された。空前絶後の新車ラッシュで、ライフのインパクトは弱まった。
ワゴンR・RR、ムーヴカスタムのようなエアロパーツを備えた派手なグレードやターボ車もなかったからだ。
しかし水平基調のボディは視界がよく、後席はフォールダウンして小さく畳めるから、大容量の荷室に変更できた。新しい衝突安全ボディも採用され、雰囲気は地味でも中身は濃い。
エアロ仕様やターボ車がなくても、軽自動車を小型車と同じ視点で高品質に造り込む姿勢にはホンダらしさが感じられ、相応の存在感もあった。
現行N-WGNも控え目だが、燃料タンクを前席の下に搭載する設計を生かして、荷室の床が特に低い。後席も快適で、下側には横幅が約1mのトレイが備わる。
衝突被害軽減ブレーキは自転車も検知する。発売直後に電動パーキングブレーキの不具合が生じて納車が滞り、インパクトは弱まったが、機能はライバル車と比べても先進的だ。
●採点
・20世紀最後(3代目ライフ)…進化 1点/対ライバル 5点/インパクト 3点/存在感 6点
・21世紀最新(2代目N-WGN)…進化 7点/対ライバル 8点/インパクト 5点/存在感 7点
(TEXT/渡辺陽一郎)
●ダイハツ ネイキッド vs ダイハツ タフト(現行)
1999年に発売されたネイキッドは、自由自在に使えることをテーマに開発され、内外装はシンプルだ。
バンパーや後席を簡単に脱着できて、内装は鉄板がムキ出し。荷室の脇に穴が開けられ、棚やネットを固定できた。これらは今のSUVを先取り。
しかし当時の軽自動車では、全高が1600mmを超える車内の広い車種が人気だった。しかもスポーティなカッコよさとわかりやすい上質感を両立させたエアロ仕様が売れ筋で大人気。
SUV感覚の初代ハスラーが好調に売れたのは2014年のことで、ネイキッドは次期尚早だった。しかしユーザーには唯一無二のクルマとして愛用され、存在感も強かった。
今のタフトは、後席を畳んで使う荷室と割り切り、スライド機能などは省いた。その代わりガラスルーフのスカイフィールトップ、LEDヘッドランプ、電動パーキングブレーキを全車に標準装着する。
タフトには人気の高いライバル車の2代目ハスラーがいるから、対抗策として車内のアレンジは簡素に抑え、装備を充実させた。
その意味ではネイキッドのほうがコンセプトを明快に表現していただろう。
●採点
・20世紀最後(ネイキッド)…進化 1点/対ライバル 3点/インパクト 5点/存在感 7点
・21世紀最新(タフト)…進化 6点/対ライバル 5点/インパクト 6点/存在感 6点
(TEXT/渡辺陽一郎)
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