メルセデスベンツは3月3日に、ドイツのベルリン工場を電動化の拠点に改修すると発表。この工場ではディーゼルターボなどを組み立てていたのを終了し、将来のコンパクトな「メルセデスEQ」のEV向け部品の生産を行うという。
ここにきて自動車界は、世界的なEVシフトへの流れがより一層強まっているが、世界初の内燃機関自動車を開発したベンツまでも内燃エンジンを作ることを、このままやめてしまうということなのか?
ベンツはこれまで培ってきた内燃機関の技術をすべて捨ててEVメーカーに変わろうとしているのか? ドイツからこのままエンジン車がなくなるのか? その真意について、モータージャーナリストの鈴木直也氏が解説する。
文/鈴木直也 写真/メルセデス・ベンツ、トヨタ自動車
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■電動化に熱心なメーカーであるというアピールをしている
自動車業界で流れるニュースというと、最近は電動化がらみのネタがやたらに多い。特にヨーロッパでそれが顕著なのだが、やれ〇〇年までにEV生産台数を〇〇万台にするとか、電池の生産工場に〇〇億ユーロ投資するとか、まぁそんな話ばっかり。
だから、「メルセデスベンツ、ベルリン工場での内燃エンジンの生産を終了へ……電動化の拠点に改修」というニュースが流れてきても、「はあ、またですか」という以上の感想はないのだが、この件は調べてみるとちょっと面白い背景がある。
欧州メーカーのつらい立場を象徴するような事例かもしれないので、ちょっと掘り下げてみた。
そもそも企業が発信するニュースリリースには、事実の開示という部分ももちろんあるけれど、ある種の「意図」が込められている。このニュースリリースでいえば、ダイムラーが言いたいのは「わが社はこんなに電動化を推進しております」という企業姿勢。
電動化拠点に転換するベルリンのマリエンフェルデ工場はエンジン製造工場だから、それを電動パワートレーンに転換すれば環境イメージ的に大いにプラスになるという目論見がある。
そのニュースをわれわれ日本人も読んで「欧州メーカーは電動化に熱心なんだなぁ」と、CO2削減=電動化というトレンドを印象づけられるわけだ。
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