今はなき「マツダのミニバン」や「いすゞの乗用車」… 昔はあった“名コンビ”5選

今はなき「マツダのミニバン」や「いすゞの乗用車」… 昔はあった“名コンビ”5選

 現代の自動車開発は安全性、環境性能を筆頭としたクルマに求められる要素が激増しており、それに伴い確認や試験をする事項も激増しているため、人・モノ・資金といった開発資源がギリギリとなっていることもあり、車種やパワートレーンといったバリエーションは減少するいっぽうである。

 そのため、例えば「いすゞの乗用車」といったように今や消滅してしまった“名コンビ的”なものも多い。本稿ではそんな消滅してしまった魅力的な名コンビを振り返っていく。

文/永田恵一 写真/MAZDA、ISUZU、TOYOTA、SUBARU

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かつては秀作MPVも! マツダ×ミニバン

マツダ 3代目MPV(販売期間:2006年~2016年/全長4860×全幅1850×全高1685mm)
マツダ 3代目MPV(販売期間:2006年~2016年/全長4860×全幅1850×全高1685mm)

 マツダは1990年に日本での販売を開始した初代MPV以来、3列シートミニバンへの参入は早かったメーカーである。特に初代MPVはV6エンジンを含めてFRというパワートレーンだったこともあり、ミニバンながら高級感ある乗り味や雰囲気も魅力だった。

 初代MPV以降マツダは1999年登場のミドルクラスで乗用ミニバンのプレマシーや、2008年登場のミドルハイトミニバンのビアンテと、メーカーの規模を考えれば充実したミニバンのラインナップを構築してきた。

 しかし、2016年にMPVが絶版となり、2017年に3列シートを持つラージSUV、CX-8が登場すると、ミニバンの役割はCX-8に任せるという大胆な方針転換をおこない、プレマシーとビアンテも消滅。現在ラインナップからミニバンは消えている。

 CX-8は3列目シートが充分使えるもののため、「SUVをミニバンとしても使う」というコンセプトの火付け役となったのは歓迎できることだが、マツダのラインナップに使い勝手のいいミニバンが欲しいのも事実だ。

 そのため開発資源も考えると提携関係を生かし、シエンタやノア三兄弟といったトヨタのミニバンをOEMでマツダのラインナップに加えてもいいのかもしれない。

撤退から早20年…いすゞ×乗用車

いすゞ 初代ピアッツァ(販売期間:1981年~1991年/全長4385×全幅1675×全高1300mm)
いすゞ 初代ピアッツァ(販売期間:1981年~1991年/全長4385×全幅1675×全高1300mm)

 いすゞが2002年にSUVだけが残った日本での乗用車販売から完全撤退してから20年近くが経つ。

 日本ではすっかりイメージがなくなってしまったいすゞの乗用車だが、1950年代にイギリスのヒルマンミンクスのノックダウン生産で乗用車に参入したこともあり、特に1993年に小型車の自社開発と生産から撤退するまでのモデルは、日本車ながら欧州車的な雰囲気が強かった。

 その代表がジェミニとピアッツァである。ジェミニは特に1985年登場の2代目モデルが機能に飛び抜けたところこそ少なかったものの、ジェミニがパリをアクロバティックに走り回るCMも追い風となり、イメージや雰囲気のよさを大きな理由に通好みの小型車として人気を集めた。

 ピアッツァは1981年登場の初代モデルが117クーペの後継車だったこともあり、ベースはその時点で古くなりつつあったFRの初代ジェミニだったが、117クーペ同様のジウジアーロデザインの美しい内外装という唯一にして最大の魅力を持っていた。

 初代ピアッツァはもう少し機能が水準に近ければ、美しさだけでも存続する価値があったことが惜しまれる。

 しかし、ジェミニは1990年登場3代目モデル、ピアッツァは1991年登場の3代目ジェミニベース2代目モデルで、当時親会社だったGMの意向で米国向けの小型車となったこともあり、好ましい雰囲気が失われ、皮肉なことにいすゞが小型車の自社開発から撤退する小さくないきっかけになってしまった。

 今後いすゞが乗用車業界にカムバックする可能性は限りなくゼロに近いと思うが、それこそ膨大な開発資源が必要な現在の乗用車業界にいすゞが対応のは大変困難なことに違いない。

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