7月末で受注がストップした新型フェアレディZ。ジャーナリスト向けの試乗会が北海道陸別テストコースにて行われたのが7月中旬。なんと筆者は、その試乗会の帰りにディーラーに立ち寄り、オーダーしたという。
試乗会の帰りに購入を決めるほど、新型Zの走りはよかったのか? しかし、その後には悲しい結末が待っていた……。
文/国沢光宏
写真/日産自動車
■新型Zに乗ってよかったら買う!
実はカルロス・ゴーンが復活させたZ33と、その改良版のZ34いずれも全ての点で私の好みじゃなかった。単にワイド感だけ強調したデザインや、高回転域で微振動を出して伸び悩むエンジン、すぐ横方向にだらしなく流れてしまうピーキーなハンドリングも「う~ん!」。アメリカSCCAでレース車両として乗ったZ32と、初代のS30が私にとってのフェアレディZでした。
新型Zを見て最初の印象が「S30の雰囲気持ってますね!」。共通プラットフォームながら、ワイドさを演出せずS30のような長さを感じる。ただ走りが今までのフェアレディZと同じ方向性だったらアカンです。そんなことから、プロトタイプを見た際「乗っていいクルマなら買う!」と決めていたのだった。
閑話休題。私が新型Zのハンドルを握ったのは高性能車にとって最悪のコンディションといえる雨だった。
考えて頂きたい。20年ほど前までタイヤ1輪でカバーできるのはFFで100馬力。後輪駆動は+10%と言われてきた。1989年のスカイラインGTS-tタイプMや(215馬力)や初代インテRの200馬力が限界というイメージ。直近になってタイヤ性能上がったため、150馬力くらいになっている。
300馬力を超えるクルマは基本的に4WDを選ぶ。そんななか、新型Zのパワーユニットときたら405馬力! しかもターボ付きだから最大トルク475Nm! 完全にオーバーキャパシティ。
ドライ路面でも、だ。ウエット路面だと絶対的なグリップ半分以下といったイメージ。ドライ路面なら800馬力くらいか? 405馬力で走るとどうなるか簡単に想像できることだろう。
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