バイク用水素エンジンの実現へ! 垣根を超えて国内4メーカーが共同研究スタート

バイク用水素エンジンの実現へ! 垣根を超えて国内4メーカーが共同研究スタート

広島G7サミットに歩調を合わせ、ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの国内バイクメーカー4社が共同で二輪用水素エンジンを研究開発する「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合」を発足。クリーンな「エンジン」を継続させるため、垣根を超えた共闘が今始まろうとしている!

文/沼尾宏明 写真/ホンダ、ヤマハ、カワサキ

【画像ギャラリー】タンクはバイクのココに搭載!? 水素エンジンの詳細を見てみる(12枚)画像ギャラリー

オールチームの研究組合「HySE」を設立

HySE説明会には4メーカーの首脳陣が登壇。左からヤマハ発動機 代表取締役社長 日高祥博氏、カワサキモータース代表取締役 社長執行役員 伊藤浩氏、スズキ 社長 鈴木俊宏氏、本田技研工業 執行職 塚本飛佳留氏
HySE説明会には4メーカーの首脳陣が登壇。左からヤマハ発動機 代表取締役社長 日高祥博氏、カワサキモータース代表取締役 社長執行役員 伊藤浩氏、スズキ 社長 鈴木俊宏氏、本田技研工業 執行職 塚本飛佳留氏

 内燃機関を後世に伝える。そのためにオールジャパンでの取り組みが始まっている。――ホンダ、ヤマハ、スズキ、カワサキの二輪メーカー4社が5月11日、記者会見を実施。「水素小型モビリティ・エンジン技術研究組合」(HySE、ハイス)の設立に向け、経済産業省の認可を取得したと発表した。

 メーカー協働に関しては、既に2021年11月、岡山国際サーキットで国内二輪4メーカーとトヨタの代表が記者会見するなどの動きがあったが、ついに具体的に発表できるまで計画が進展したことになる。

特性やスペースの関係からバイク向けは課題解決が困難

カワサキはニンジャH2をベースに水素エンジンを研究中。ヘッドカバーからシリンダー背面に直噴用の燃料ラインが伸びる。水素エンジンでは直噴が必須の技術だ
カワサキはニンジャH2をベースに水素エンジンを研究中。ヘッドカバーからシリンダー背面に直噴用の燃料ラインが伸びる。水素エンジンでは直噴が必須の技術だ

 しかし水素エンジン実現に向けて課題も多い。

 水素は燃焼速度の速さに加え、着火領域の広さから燃焼が不安定になりやすい。特にバイク用となると、運転レンジや排気量が四輪車用と異なってくる。また、現在の技術では巨大な水素タンクが必要。バイクの場合、搭載スペースが狭いなどの技術的な課題があり、難易度が高い。

 HySEではこれらの課題解決に向けて、ガソリンエンジンの開発で各社が培った知見や技術をもとに連携。小型モビリティ用水素エンジンの設計指針の確立も含む基礎研究に取り組んでいく。

 具体的にはホンダが水素エンジンのモデルベース開発を研究。機能や性能、信頼性についてはスズキが要素研究を、ヤマハとカワサキが実機研究を担当する。さらにヤマハは水素充填系統および水素タンクの小型モビリティ向け要求を検討。カワサキは、燃料供給システムおよびタンクに付随する機器、タンクからインジェクター間に配置する機器の検討を行う。

 なお二輪向けに培った基礎技術は、ミニショベル、フォークリフト、小型漁船、軽飛行機、ドローンといった多彩な小型モビリティへの活用も可能という。

 HySEには正組合員である二輪メーカー4社に加え、特別組合員として、川崎重工とトヨタ自動車が参画。川崎重工は、技術研究組合CO2フリー水素サプライチェーン推進機構(HySTRA)の主幹事としてHySEの運営を推進。トヨタは四輪車用大型水素パワーユニットの実験や解析、設計などのノウハウをもって、HySEの研究成果の最大化を推進する。

 今後はパーツなどのサプライヤーや海外の二輪メーカーの参加も募っていく予定とのこと。水素エンジン実現に向けて、仲間の輪は少しでも大きい方がいいだろう。

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