プリウスなぜ低迷? 岐路に立つ“HVの盟主“の存在意義と求められる変革

■次のプリウスに求められる「時代に先駆けた」刷新

次世代のプリウスは車名のとおり「〜に先駆けて」いなければならない。現行モデルのように顔つきだけ目立つように変えただけでは新型とは呼べないだろう

 そのなかで、プリウスに次があるとするならば、それは車名のとおり「~に先駆けて」いるクルマでなければならない。

 電気自動車(EV)であることは最低条件だ。

 そのうえで、VtoHなど移動だけでなく、駐車しているときも社会に貢献し、消費者の暮らしを安定させ、安心できる日々を送れるものになっていかなければならないだろう。

 外観も、2代目以降の延長線ではもはや存在意義は示せない。現行の4代目のように、輪郭を踏襲しながら顔つきだけ目立たせても、消費者には響かないのである。

 フォルクスワーゲンが、ID.3やID.4で見せたように、これまでEVなど見向きもしなかったり、あるいはまだ買うつもりがなかったりする人でも、一度乗ってみたいと思わせるような、時代を反映し未来を期待させる外観が求められる。

 加えて、すでにヤリスで採用されているが、回転シートのターンチルトシートを助手席だけでなく運転席にも設定するといった、福祉車両との境界をなくすようなユニバーサルデザインも、障害者対応だけでなく高齢化社会を見据え、取り組むべき課題だ。

プリウスに限った話ではないが、今後は「CASE」というワードが重要になっていくだろう。写真はスマートフォンに接続されたヤリス8インチディスプレイオーディオ

 そして、自動運転は、障害者や高齢者に移動の自由を広げ、自立を促すことにつながる。そうなれば、所有から利用への転換期においても、存続する意味や価値のある車種になっていく。乗ってみたいと思われれば、共同利用でも選ばれる車種になっていく。

 以上の価値は、必ずしも目新しいものではない。しかし、「~に先駆けて」という車名である以上、プリウスは少なくとも時代の最先端でなければならない。単にPHVにしても、それはもはや時代の先端ではない。

 カリフォルニア州のZEV規制も、EVの台数割合が年々2%ずつ増やされていく。一方PHEVは、当面認可される車種でしかなく、その割り当て比率が絞られていく。

 なおかつ、15年後にはEVのみしか販売できなくなろうとしている。先々しぼんでいくPHVに、誰がお金を払うだろうか。あるいは所有したいと思うだろうか。

 幸いなことに、プリウスの急な販売低下は時代をまさしく反映し、トヨタにEVでなければ生き残れないという覚悟をもたらすのではないか。

 CASE(コネクテッド/オートノマス=自動運転/シェア/エレクトリック)の取り組みにいよいよ本腰を入れるときである。実際、10年後には大手自動車メーカーといえども必ずしも存続できない時代になると私は見ている。

【画像ギャラリー】低迷するハイブリッドの先駆け……プリウスの「次世代での存在意義」を写真で考察する

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