昨年(2020年)10月に発売されたスバル新型レヴォーグ。登場直後からヒットを飛ばし、特にクルマ好きから支持が高く、自動車メディア界隈でも購入者が続出。かくいう本記事担当編集者も購入し、先週納車されました。
納車時にディーラーで手続きをしていると、担当営業マンから「この新型レヴォーグには、【慣らし運転みたいなもの】が必要なんですよ。詳しくはこちらをご覧ください」といって、注意書きを渡されました。
読むと確かに「1.8万kmごとに1回の70km/h以上5分間走行」と書いてある。なんですかこれは…。令和の時代に慣らし運転? これは新型レヴォーグ特有の注意書き? それとも本当は、できるなら全車こういう運転をしたほうがいい?? 自動車ジャーナリストの国沢光宏氏に伺いました。
文/国沢光宏 写真/SUBARU
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■新型レヴォーグの2つの「使用上のお願い」とは?
新型レヴォーグが納車される際、おそらく2つの「使用上のお願い」を説明されると思う。写真のアンダーライン部分を読んでいただければわかるとおり、「定期的な高速走行が必要です」と「レギュラーガソリンの推奨」です。
なかでもガソリンはハイオクを使うと燃費や始動性が悪くなると明記されていることからわかるとおり、「使わないで」に近い。
定期的な高速走行は、ディーゼルエンジンならDPF(ススをキャッチするためのフィルター)を燃焼させ再生させるために推奨されるけれど、ガソリンエンジンじゃ聞いたことがない。ハイオクを使わないでください、という注意喚起だって見たいことない。
どうなっているんだろうか? 本当に守らなくちゃならないのだろうか? 以下考察したい。
■「定期的な高速走行」は特殊な金属フィルターが関係していた
さて。
新型レヴォーグに搭載されている1800cc直噴ターボエンジン、あまり話題になっていないけれど、けっこう革新的&意欲的だったりする。なんといってもターボエンジンながら希薄燃焼(リーンバーン)制御を行っているのが凄い! 上手に希薄燃焼させると燃費はよくなるものの、皆さんやらない。なぜか? NOxを出してしまうからです。
簡単に説明してみたい。シリンダー内に大気を吸入し圧縮。適正な量(理想混合比)のガソリンを噴射してやると、大気中の酸素が完全に燃焼する。その状態で触媒を通過すれば、排気ガスは水と窒素と二酸化炭素という無害な気体になります。ガソリンエンジンの排気ガス、今や驚くほどクリーン。汚染された地域の大気よりキレイなほど。
しかし! 薄い燃料を噴射して希薄燃焼させると、当然ながら燃え残りの酸素が出てしまう。そいつを燃焼室で高温&高圧縮すると大気中の窒素と結びつき有害なNOxになる。御存知のとおり、NOxは光化学スモッグの主因になるため厳しく排出量制限を掛けられます。
したがって希薄燃焼すれば燃費がよくなるけれど、厳しい排気ガス規制により×。スバルも2代目レガシィで希薄燃焼を取り入れたものの、排気ガス規制強化により廃している。
けれど技術は大幅に進化した! 直噴ターボ化により、燃焼時に発生するNOxを減少させることに成功。新型レヴォーグの場合、わずかに残ったNOxは特殊な金属フィルターで除去している。けれど走行しているうちに、(このフィルターが)ガソリンに含まれる硫黄分で汚れてしまう。
このフィルター、標準的な走行状態だと1万8千kmごとに5分間、70km/h以上で走らないと性能を維持できないそうな。
まぁ普通の使い方をしていれば毎日のように5分70km/h以上で走るだろうからまったく問題なし! とはいえ世の中広い。1回5分のチョイ乗りばかりしている人もいるようなので、注意喚起している、ということだと思う。
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