何度となく「そろそろ生産終了か?」という噂が出ながらも、販売し続ける日産マーチ(2020年春に「一時生産中止」という報道があり、「ついに絶版か」という噂が流れたが、同年7月に一部改良を実施して、現在も販売中)。
販売は好調…とはいいがたく、2021年1月の月販台数は752台。同門のノートが7532台を売っていることを考えると、1/10という状況。かつて一世を風靡した超名門車が、(新型ノートだけでなく、トヨタからヤリス、ホンダからフィットと、それぞれ新型が登場している)令和のコンパクトカー戦国時代に、まったく音沙汰なしというのは寂しいかぎり。
マーチはなぜこんなに影が薄くなってしまったのか。何が悪かったのか。どうすればよかったのか。販売事情に詳しい渡辺陽一郎氏に伺った。
文/渡辺陽一郎 写真/NISSAN
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■コンパクトカーの売れ行き好調! だがマーチは..?
最近は全長が4m前後に収まるコンパクトカーの売れ行きが好調で、乗用車市場全体の26%、小型/普通乗用車に限れば40%を占める。
コンパクトカーは価格が割安で燃費もよく、運転しやすいことから、もともと人気が高かった。特に最近は、安全装備や運転支援機能の充実により、クルマの価格が2000年頃に比べて1.2~1.4倍に上昇している。その結果、ミドルサイズの車種からコンパクトカーに乗り替えるユーザーも増えた。
2021年1~2月の小型/普通車登録台数ランキングを見ても、ヤリス、ルーミー、ノート、フィット、ソリオという具合に、5ナンバーサイズに収まるコンパクトカーが上位に入っている。
ただしコンパクトカーのすべてが好調に売れているわけではない。日産マーチは知名度の高い車種なのに、売れ行きが伸び悩む。
2020年におけるマーチの登録台数は、1か月平均で481台であった。同じ日産のコンパクトカーでも、ノートはほとんどモデル末期の状態ながら、1か月平均が6017台だ。マーチの売れ行きはノートの8%と少ない。2021年も変わらず、マーチの1か月の登録台数は1000台を下まわる。
今の売れ行きは、マーチにとって不本意だろう。以前のマーチは人気車だったからだ。
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