重箱の隅を突くようにN-BOXの死角はないのか徹底チェック
このように優れた特徴を多く備えるN-BOXだが、選ぶ時に注意すべき欠点もある。まず車両重量が大半のグレードで900kg以上になり、登坂路などではパワー不足を感じやすいことだ。全高が1700mmを超える軽自動車に共通して見られる欠点だが、N-BOXでも注意が必要になる。
パワー不足の解決策としては、ターボ車の選択がある。実用回転域の駆動力を左右する最大トルクは、ターボでは10.6kgmだからノーマルエンジンの1.6倍だ。1Lエンジンを積んだ感覚で運転できる。しかもWLTCモード燃費は5%しか悪化しない。
1Lターボの価格は、ノーマルエンジンのLよりも19万9100円高いが、Lにオプション設定されるサイド&カーテンエアバッグと右側スライドドアの電動機能、さらにパドルシフトも標準装着した。
これらの価格を差し引くと、ターボの正味価格は約9万円に収まる。前述の高効率も考えると、ターボはN-BOXの欠点を解消する機能として有効かつ割安だ。
N-BOXは乗り心地が快適な代わりに、カーブを曲がる時は、ボディの傾き方が拡大しやすい。ライバル車のタントは乗り心地が少し硬いが、カーブを曲がる時の安定性は向上させている。
居住性については、前席は快適だが、後席は座面の柔軟性が乏しい。大腿部付近のサポート性も足りない。もう少し柔軟に仕上げるか、座面の前側を持ち上げると、乗員の下半身の支え方が向上する。
このほかN-WGNには電動パーキングブレーキが採用されたが、N-BOXは今でも足踏み式だ。運転支援機能も全車速追従型にならず、時速25km以下では解除されてしまう。
足踏み式で全車速追従型にした車種もあるが、追従停車後に2秒ほどで再発進する。これを避けるためにN-BOXは、低速域では解除する設定にした。
以上のようにN-BOXには欠点もあるが、総じてメリットが多い。そのためにN-BOXは今でも新車として売られる軽自動車の販売1位で、小型/普通車まで含めても、実質的に最多販売車種になる。
このように人気が高いので、2020年度に国内で新車販売されたホンダ車の内、32%をN-BOXが占めた。つまりホンダの小型/普通車の需要をN-BOXが奪っている面もある。N-BOXは優れた商品だから、ほかのホンダ車に与える影響も大きいのだ。
しかし、この先、軽NO.1の座を死守し続けることができるかといえば疑問符が付く。現行N-BOXにはフルハイブリッドはおろか、マイルドハイブリッドさえ用意されていないからだ。2030年以降(東京都)の純ガソリン車新車販売禁止まであと9年。軽自動車も電動化の対象になっている。
現行N-BOXのデビューは2017年8月だから、順当にいけば次期N-BOXの登場は2023年頃が予想される。次期N-BOXには電動化対応にしてくるだろうが、それまで販売NO.1の座を維持し続けられるだろうか?
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