■水素燃料は普及する!?
ピュアEVよりも現実的なのが水素燃料だ。
2000年代初頭では水素タンクの問題や、水素をレシプロエンジンで効果的に燃焼させる技術に障壁があったが、MIRAIが実用化されている今、カーボン素材の水素タンクは実用化されている。
水素燃焼技術も、トヨタが5月22~23日に開催された24時間レースにレーシングマシンを投入したことからもわかるように、目処はついている。
水素ステーションは法規改正をして設置基準を緩和すれば現在のガソリンスタンドとの併設ができる。
燃料電池車用だけでは水素ステーションの普及は望めないが、水素エンジン車が増えるのであれば、ステーションの普及の原動力となる。
もちろん、「じゃ、水素はどのように作るの!?」という問題はあるが、副産余剰水素の活用など、『グリーン水素』を使えれば問題はある程度解決できるだろう。
なによりも、エンジン自体は現在のガソリン&ディーゼル用と基本は同じでいい。ここが大きなメリットになるのだ。
■自動運転だらけになる?
本当の意味で「自動運転」と言えるのは、いわゆるレベル3以上とされている。
現在、レベル3を実現しているのは3月4日に発表されたホンダレジェンドだけ。
1000万円で100台限定のリース販売のみということで、市販車とはいえ、普通に誰もが買って乗ることができるクルマではない。
ちなみに、レジェンドがレベル3自動運転を実行できるのは、高速道路などの自動車専用道路で、前後に他車がいる状態で、30km/h以下になる(つまり渋滞中)という条件が必須。
ハンズオフしてモニター画面で映像を見るなど、運転操作の主体をクルマにゆだねることができるが、50km/h以上で解除されるほか、システムにエラーが生じた場合、直ちに運転を引き継げなければならない。
実際にレジェンドでレベル3を体験したが、システムの信頼性は高く、渋滞中のストレス軽減効果は思いのほか大きいのだが、ちょっと流れがよくなるとすぐに50km/hを超えてレベル2に移行。
もちろん一般道ではシステムが起動しないため、かなり限定された「自動運転体験」といった感覚だった。例えば、新東名などで120km/h巡航でのレベル3が実現すると、かなり「自動運転感」が実感できるだろう。
とはいえ、巡航時の自律的な自動運転を実現するには、高速道路に限定しても、かなり高度な全方位センシング技術が必須だし、渋滞速度とは比較にならない遠距離センシングと、超高速演算処理が求められる。
レベル3を保証する以上は、「万が一」にもシステム側のエラーに起因する事故が起こってはならないからだ。
例えば、高速道路の限定された区間で車線を物理的に区切るなどして、レベル3車以外が走れないレーンなどを設定すれば実現可能だろうが、現実的ではない。
さらに進んだレベル4となると、トヨタが静岡県裾野市に展開するウーブンシティのように、最初からそれを念頭においた街づくりとともに、専用レーンを走るシティコミューターモビリティのようなモデルケースで実現していくというのが現実的。
少なくとも、2030年時点でレベル4自動運転車がそこらを走り回っているということは、ないだろう。
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