RRの駆動方式を採用したスポーツカー
小林さんが所有するデロリアン・DMC-12は1981年~1982年の間、アメリカの自動車メーカー、デロリアン・モーター・カンパニーが北アイルランドの工場で生産していたモデルである。
販売不振などによりデロリアン・モーター・カンパニーは1982年に倒産するものの、約8975台が生産された。
正式名称はデロリアン・DMC-12だが、デロリアン・モーター・カンパニーは、このモデルしか生産していないので、デロリアンと呼ばれることが多い。
デロリアン・DMC-12は、デザインはイタルデザインのジウジアーロが担当。機関系はロータスが請け負った。運転席後方のRRに搭載するエンジンはプジョー・ルノー・ボルボによって共同開発された2.8LV型6気筒エンジンで、ミッションは5速MTが組み合わされている。
何と言ってもデロリアン・DMC-12の特長は、外装全体を無塗装のステンレスで覆ったこと。さらに表面は加工時のサンドペーパーの傷をそのまま残したヘアラインが残っている。そして、ガルウィングだ。
小林さんのクルマはコーションプレートに1981年11月生産と書かれている。1981年式のデロリアン・DMC-12は製造スタッフの経験不足などにより、クオリティがイマイチだったとのこと。
取材時も水温計が振り切れていたが、小林さんはまったく意に介さない。実はデロリアンオーナーにはバイブルと呼ばれる本があるのだ。それは、日本のデロリアンオーナーズクラブの会長が書いた本のこと。
デロリアン・DMC-12のウィークポイントや対処の仕方をはじめ、歴史などデロリアン・DMC-12に関わることがすべて書かれているという。まさにバイブルだ。
所有していて喜びを感じられることを聞いてみると、クルマを停めると写真を撮られまくることだという。また、デートとか出掛けることができないと小林さんは笑いながら話す。
一方、所有していて苦労することは、40年前のアメリカ車らしく壊れること。購入して3日目でオーバーヒートしたという。
しかし、オーナーズクラブに参加し、会長の書いたバイブルを手に入れてからは、大半のトラブルに対処できるようになったという。
ただ、治してくれるショップがないのが悩みの種で、オーナー同士の繋がり、情報交換がなければ維持していくことは難しいと話す。
元々、カメラマンのアシスタントからIT系会社の副社長を経て、現在は自称冒険家という小林さん。41歳の時にはランドクルーザープラドで、1年2カ月新婚旅行を兼ねて世界一周の旅を行った。
この壮大な旅行を行った理由は30歳の時に留学したオーストラリアで知り合ったフランス人が、オートバイで世界一周を2回したという話を聞いたから。
現在はその世界一周を行ったランドクルーザープラドとデロリアン・DMC-12の2台を所有している。ランドクルーザープラドは世界一周の思い出。そしてデロリアン・DMC-12は若い日の思い出のクルマ。
どちらのクルマも小林さんのやり遂げたい夢を実現させたリアルな結晶といえる存在なのである。
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