最新手口を封じるのはローテク!? 車両盗難は“アナログ防御”が最強だった!?

最新手口を封じるのはローテク!? 車両盗難は“アナログ防御”が最強だった!?

 昔の映画で観た「ドアガラスの隙間から針金で……」なんて過去の話。今や「リレーアタック」「CANインベーダー」など、車両盗難もデジタル化。デジタルにはデジタルで? いやいやアナログでも効果ありなものも!

文/山口卓也、写真/写真AC、アイキャッチ画像/lensw0rld@Adobe Stock

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車両盗難は徐々に増えつつある!

最新手口を封じるのはローテク!? 車両盗難は“アナログ防御”が最強だった!?
イモビライザーは、キーに埋め込まれた電子チップのIDと、車両側のIDを照合することでエンジン始動を制御する装置だ。IDが一致しなければエンジンはかからないため、鍵穴を壊して侵入するだけではクルマを動かせない

 警察庁によると、車両盗難の認知件数は2003年の約6万4000件のピーク時から大幅に減少し、2021年には約5000件とピーク時の10分の1以下にまで減少したという。しかし、その後は徐々に増えつつあり、昨年は約6000件。

 2003年から大幅に減少したひとつの要因として、90年代後半から国産車にもイモビライザーが急速に普及したことが挙げられる。

 イモビライザーは登録された正規のキー以外ではエンジンを始動させないシステムで、正規のキーに内蔵されたICチップがクルマ側のコンピュータのID情報と照合し、一致した場合のみ始動可能となるもの。

 しかし年月が経つにつれ、ある時期ニュースなどで頻繁にとりあげられた「リレーアタック」や「CANインベーダー」などを使った、クルマメーカー製のイモビライザーの突破方法が窃盗犯に徐々に知られるようになったことが、ここにきて車両盗難が徐々に増加している理由とも言われている。

●どんな車種が狙われているのか?

 同じく警察庁発表の2023、2024年における車名別盗難件数では1位トヨタ・ランドクルーザー、以下プリウス、アルファード、レクサスLX、ハイエース、レクサスRXと上位6位までをトヨタ・レクサス車が占めている。

 特に1位のランドクルーザーに関しては2位のプリウスの2倍近くが被害に遭っており、ここ数年でも一番盗難に遭いやすい車種とも言える。2021年発売のランドクルーザー300、そして昨春に発売されたランドクルーザー250もその標的とされてしまっている。

リレーアタックとその対策

最新手口を封じるのはローテク!? 車両盗難は“アナログ防御”が最強だった!?
電波遮断機能付きのスマートキーケース。スマートキーをケースの中に入れることで、キーから発信される微弱な電波を遮断してくれる(chihana@Adobe Stock)

 「リレーアタック」は、スマートキーから出る微弱な電波を受信し、専用機器を使ってさらにクルマまで電波を中継してドアロックを解除、エンジン始動するもの。

 リレーアタック対策としてあげられるのは、以下の3つだ。

1.微弱な電波を受信されないように、キーを玄関など外部と近い場所に置かない
2.キーを節電モードに(メーカーにより操作は異なる)
3.電波を遮断する専用ポーチや、金属製の缶などにキーを保管

最近耳にするCANインベーダーとその対策

 「CANインベーダー」は車体の一部を破壊し、クルマに張り巡らされたController Area Network(CAN)と呼ばれる車両通信システムに物理的に不正アクセスすることで、あたかも正規のキーがあるかのように誤作動させドアロックを解除、エンジン始動するもの。

 CANインベーダーはスマートキーの電波を利用するのではなく、車体の一部を破壊して物理的に内部配線に侵入するため、リレーアタック対策では盗難を防ぐことはできない。

 CANインベーダー対策としては、物理的に内部配線に侵入されたとしてもクルマを動かせない対策を考えたい。

1.タイヤロック

最新手口を封じるのはローテク!? 車両盗難は“アナログ防御”が最強だった!?
タイヤやホイールを物理的に挟み込んで固定し、車両が動かせないようにするホイールクランプ。こちらのほうがより安心(efired@Adobe Stock)

 駐車違反のクルマに見られるような、ホイールごとつかむ形状のものが市販されているが、ホイール形状によっては取り付け不可の場合もある。

 さらに、ホイールナットむき出しのデザインのものはホイールナットを工具で回してホイールごと交換されて盗まれる恐れが。市販品のなかにはホイールナット部を隠すようなデザインのものもあるので選ぶならこちらを。

 さらに、ホイールナットを専用工具じゃないと絶対に回せないもの(花柄キーパターンのものなど)にするのも有効。ただ、ホイールのナット穴のサイズによっては取り付け不可の場合もあるので要注意。

2.ハンドルロック

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一般的なハンドルロックは、油圧式のパイプカッターなどを使えば比較的簡単に切断されてしまうことがある(Benjamin Sibuet@Adobe Stock)

 頑丈なロック部のものでも、比較的柔らかい素材のハンドルを専用カッターで切られて盗難に遭う可能性もある。市販品の中にはハンドル全体を覆う形状のものもあるのでチェックしてほしい。

3.CANインベーダー対応の後付けセキュリティシステムの導入

 後付けセキュリティシステムのなかにはCANインベーダーによる盗難に対応しているものもある。

 ほとんどが専門知識を持つカーセキュリティ専門店や認定取扱店での施工となり、金額的にも少々値が張るものになるが、専門店にはセキュリティ機器の取り付け場所、センサーの選択、最新車両への適合ほかDIYなどでの取り付けとは比べ物にならないノウハウがある。

 また、豪雨時や他者の体がちょっと当たっただけでセキュリティシステムが反応するようでは、「敏感すぎてうるさいから切っておく」なんてことも……そうなると本末転倒! やはり専門店や認定取扱店での施工がお薦めなのだ。

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