取説でよく見かける「シビアコンディション」って結局なに? 愛車を傷める「過酷な環境」とは

取説でよく見かける「シビアコンディション」って結局なに? 愛車を傷める「過酷な環境」とは

 「クルマの不調を起こさないためには、とりあえずオイル交換さえきちんとすれば大丈夫」と言われる。そこで自車の適正なオイル交換時期を取り扱い説明書で調べると……「シビアコンディション」という単語が!

文:山口卓也/写真:写真AC

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取り扱い説明書に出てくる「シビアコンディション」という単語

取説でよく見かける「シビアコンディション」って結局なに? 愛車を傷める「過酷な環境」とは
取説にある“シビアコンディション”の意味、実はあいまいなままスルーしていないだろうか? 自分には関係ないと思っていても、意外と該当しているかもしれない

 オイル交換をDIYで行うために取り扱い説明書をめくり「シビアコンディション」という単語を見ても、果たして自分のクルマがそれに該当するのかどうかわからない人は意外と多いだろう。

 ちなみに「シビア」は英語でsevere、意味は「厳しい」「激しい」などで、「コンディション」はconditionで「条件」「状態」。だから、クルマにとって相当厳しい使い方をしている人だけが関係する言葉と思いがち。

 そのため、「あー、つまりクルマにとって厳しい条件で使っているかどうかなのか!」と、自宅から近くの駅までの足グルマとして利用する自分は「それには該当しないから……」と勘違い。実はそんなクルマこそシビアコンディションに該当するのだ。

クルマメーカーが想定する標準的使用とは?

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渋滞路のノロノロ運転も、実はクルマには過酷な環境。低速やアイドリングが続くことで、エンジンだけでなく各部に負荷がかかるからだ

 「え? では逆に、そうではない標準的使用って……どんな使用方法?」と思われるだろう。クルマメーカーが想定する標準的使用とは「平坦路での走行、一定速度の走行」。

 対して、シビアコンディションとして扱う条件のなかにはしっかりと「短距離走行の繰り返し」「多頻度の低速走行」は書かれている。

 つまり、特に渋滞の多い都市部での短距離通勤使用や近所への買い物使用などのいわゆる「チョイ乗り」は思い切りシビアコンディションに該当しているのだ!

 シビアコンディションとして扱われる目安(参考例:トヨタ自動車)

1.走行距離の30%以上が悪路(凸凹路、砂利道、雪道、未舗装路)
2.走行距離の30%以上が山道、登降坂路の頻繁な走行
3.1回の走行距離が8km以下の短距離走行の繰り返し
4.走行距離の30%以上が高地走行(ディーゼル車のみ)
5.長時間のアイドリングまたは多頻度の低速走行(ディーゼル車を除く)

※1日のアイドリングでの累積時間が2時間程度。1日で車速10〜15km/hでの走行距離が30km程度

 モデルや仕様・年式によって若干異なるとはしているものの、これらを「シビアコンディション」と呼び、さらにこれより厳しい条件での使用時は、より短い期間での点検整備を促している。

 また、上記に加えて1年に2万km以上走る場合もシビアコンディションとしているメーカーもある。

チョイ乗りがなぜシビアコンディションなのか?

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長時間のアイドリングもクルマには過酷なシビアコンディション。エンジン内部の熱や燃料の滞留で摩耗や汚れが進み、故障や性能低下の原因になることがある

 チョイ乗りこそ都市部における「標準的使用」と言えなくもないが、なぜ「1回の走行距離が8km以下の短距離走行の繰り返し」や「長時間のアイドリングまたは多頻度の低速走行」がクルマにとって厳しい使い方なのか?

 ガソリンやディーゼルエンジンを構成するパーツや油脂類は、ある程度温度が上がること(熱膨張)で設計時の適正値になるように考えられている。

 短距離走行や低速での走行が多いと冷却水やオイルの温度や適正値まで上がらず、水分が蒸発しないことで油脂類が劣化。エンジン内部の結露とともに水分混入による乳化現象が発生すると、本来オイルが持っている性能を大幅に低下させ、エンジン寿命も大幅に短縮させてしまう。

 よって、シビアコンディションに該当する都市部の「チョイ乗り」では、特にエンジンオイルの交換時期に気をつけるべし。

 多くのメーカーでは、シビアコンディション下のクルマは標準的使用のクルマのオイル交換スパンの約半分としているのでここは要注意!

 また、エンジンオイルはクルマを使わなくても劣化が進むもの。難しいことはできなくても、せめてオイル交換だけは自分の愛車の使い方に合わせて交換してほしい。

次ページは : チョイ乗りに向くクルマ、向かないクルマ

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