初代シビックタイプRは199万円!! なぜ安くて楽しい車は実現できたのか

環境性能の向上もコスト的には手強いテーマに

 もうひとつ、安全性と同じレベルで重要なのが環境性能だが、これまた技術的にもコスト的にも手ごわいテーマとなっている。

 なぜかというと、そのターゲットが排ガス中の有害成分(CO、HC、NOX)からCO2そのものにシフトしているから。

 昔は、排ガスさえクリーンならOKだったものが、いまは同時に燃費(=CO2)を規制値内に収めなくてはならない。

SKYACTIV-Xはガソリンを燃料としながら、ディーゼルエンジンと同様の燃焼モードを実現する次世代エンジンである。マツダ3、CX-30に搭載。
SKYACTIV-Xはガソリンを燃料としながら、ディーゼルエンジンと同様の燃焼モードを実現する次世代エンジンである。マツダ3、CX-30に搭載。

 そのためには、ハイブリッド化やダウンサイズターボ、あるいはSKYACTIV-Xみたいな新しい燃焼モードの実用化など、とにかくお金と手間がかかるのだ。

 それに加えて、VWがやらかしたディーゼルゲート事件の余波で、排ガスや燃費などの計測を実走行モードで行うRDE(※3)という新しい試験モードまで登場。

 これに関してはEV圧倒的に有利だが、内燃機関のコストアップ圧力は深刻だと思う。環境性能にかかるコストについては、たとえばハイブリッドとノンハイブリッドの価格差などがヒントになるかもしれない。

※3 公道路上排ガス試験 Real Driving Emissionの略称

<strong>ヤリス</strong> ガソリン車:139万~192万/ハイブリット車:199万~229万(2WD 基本価格)
ヤリス ガソリン車:139万~192万/ハイブリット車:199万~229万(2WD 基本価格)

 最新のヤリスで見ると、同一グレードでハイブリッドにすると40万円弱、17%ほどの価格アップ。ドタ勘によるアバウト計算だが、安全性と同じように最近は車両価格の10〜20%くらいを環境性能コストが占めているように思われる。

旧来的な「安くて楽しい」は無理でも「新感覚の楽しいクルマ」は意外に豊富?

 つまり、冒頭に挙げたような「昔は安くて面白いクルマがたくさんあった!」の時代と比べると、最近は安全+環境で最低でも20〜40%くらいクルマの値段が上がってるってこと。こればっかりは世の趨勢だから、クルマ好きがいくら嘆こうとどうしようもない。

 昔のNAロードスターやシビックタイプRみたいなクルマを200万円以下で売ってくれといっても、どだい無理な注文と言わざるを得ないわけです。だから、無い物ねだりはやめて「いま楽しめるクルマ」のことを考えた方がいい。

<strong>ライズ</strong>  ガソリン車:167万~206万(2WD)/191万円~228万円(4WD)
ライズ ガソリン車:167万~206万(2WD)/191万円~228万円(4WD)

 コミコミ200万円縛りだって、SUVならライズ/ロッキー、ホットハッチならスイフトスポーツ、ネタ的に面白いのはジムニー……。けっこう楽しそうなクルマに手が届く。

 昔を知ってるオジサンやお爺さんは、楽しいクルマといえばスポーツカーしかないと思っているけれど、その時代時代の新しいクルマの楽しみ方は、クルマ好きユーザーの中から自然発生的に生まれてくるもの。

 いま全盛のSUVだって、アメリカ西海岸でトラックを改造して遊んでいたサーファー発祥だ。

 手に入る材料で新しい遊びを考えるのは、今も昔もやっぱり若者の役割。筆者のような年寄りは、若いクルマ好きに大いに期待しているのでございます。

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