最新車は必要なし? HVでもやったほうがいい?? これで決着「慣らし運転」論争


慣らし運転をすることにデメリットは存在するのか?

 ここではちょっと視点を変えて、慣らし運転をすることで生じるデメリットを考えてみよう。

 それはゆっくり走ることのストレス、丁寧な運転を続けることは面倒で気を使う、ということではないだろうか。

 それでなくてもクルマの運転は、いろいろと神経を使うものだ。対向車や左側を走るバイクや自転車の存在、交差点では歩行者信号が赤になっても、駆け足で渡ってくる歩行者がいたりもする。

 右左折のために進路変更しようと思えば後続車の存在や車間距離も確認する必要があるし、突然前走車が右折しようと停止することだってありえる。

 そうなった場合に、即座にスムーズに車線変更して停止車両をかわしていかないと、たちまち車線上で停止させられて後続車両も詰まってしまうことになる。

 もちろん車速にも気をつける必要があるし、前方の信号も変化の兆候を探りながら走らないとせっかく加速しても、大きく減速して赤信号で止まる羽目になってしまう。

 運転に余裕がないドライバー、必要以上に気を使いたくないドライバーにとっては、慣らし運転をキチンと行なうことは、それだけで運転時のストレスになりえる。

 そうまでして慣らし運転をする意味があるのかと問われれば、運転中の安全やストレス低減のほうが重要視するべきだということになるだろう。

 そう考えると、「慣らし運転をするのも新車の楽しみの一つ」と思えるクルマ好きは、慣らし運転をする価値を見出せるだろうが、それ以外のオーナーは「必要ではないなら、やらないほうがいい」と考えるのも当然だ。

いたわるあまり、エンジンの回転数を上げないのは逆効果?

エンジンをいたわるために高回転まで回さない、というのは正解なのだろうか?(写真:MP_P@Adobe Stock)

 逆に慣らし運転をずっと続けてしまうことでデメリットが生じることもある。慣らし運転が終わっても、あまりエンジンの回転を上げずに乗り続けたほうがクルマに優しいと思っている人もいるかもしれない。

 しかし丁寧に運転することと、エンジンを回さないことは同じではない。乱暴に扱えば低回転でもエンジンや駆動系にダメージを与えることもあるし、丁寧に扱えばレブリミットまで回してもエンジンにダメージを与えるようなことはほとんどない。

 むしろ回転を抑えたまま走り続けることで、カーボン(燃えカス)やデポジット(未燃焼の堆積物)が溜まってしまったり、慴動部の当たり面も低回転時に限った使い方をすることで、高回転域の回転フィールが渋いエンジンに仕上がってしまうこともある。

 例えばエンジンのシリンダー内にあるピストンは燃焼時には振動しており、そのまま上下動を繰り返している。

 低回転低負荷時と高回転高負荷時ではその振動の速さや大きさが変わり、ピストン側面とシリンダー壁面の当たり方も変化する。

 ピストンにとって最適なクリアランスは、その使い方によっても変わるため、フリクションを低減させて高回転のフィールを高めるには、ある程度ピストンの当たり面を摩耗させてやることも大事なのだ。

 さらにエンジンや変速機を制御しているECUは、ドライバーの操作に合わせて燃料噴射や点火タイミング、変速などのパターンを最適化している。

 いわゆる学習機能というヤツだが、街中をゆっくり走っているだけの使い方では燃費を高めるためにエンジン回転を抑え、どんどんシフトアップしていってくれる。

 これは短期的には燃費が向上ずるのでオーナーにとっては嬉しいが、エンジン吸気ポート周辺のデポジット堆積やクリーンディーゼル車であればDPFの目詰まりなどのトラブルが起きれば、節約した燃料代などは修理代で帳消しになってしまう。

 同じ車種でもオーナーの乗り方によってエンジンのフィーリングが異なるのは、この普段の乗り方とメンテナンスによる影響が大きい。

 いわゆる「当たり」のエンジンと昔はいわれたものだが、電子制御と工作精度が向上した現代では、ほとんど初期状態は均一であり、オーナーの習慣によってエンジンのフィールや性格に差が出てくる。その最初のきっかけが慣らし運転なのである。

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