各自動車メーカーの慣らし運転に対する見解の違い
それでは日本の各自動車メーカーは慣らし運転を推奨しているのだろうか?
各自動車メーカーの公式ホームページなどで、慣らし運転が必要かというユーザーからの質問に対して、見解を見ることができる。
トヨタ、ホンダ、三菱、スズキは「慣らし運転は必要ありません」と回答している。
トヨタの見解は、「慣らし運転の必要はありません。ごく一般的な安全運転に心がけていただければ、各部品のなじみは自然と出てきます。お客様が新しいクルマに慣れるまでの期間を慣らし運転の期間と考えてください」。
ホンダは、「現在のクルマは、エンジンやその他の部品精度が向上しているため、慣らし運転を行う必要はありません。
ただし、機械の性能保持と寿命を延ばすためには以下の期間はエンジンや駆動系の保護の為に、急激なアクセル操作や急発進をできるだけ避けて下さい。
・取扱説明書に慣らし運転期間の記載がある場合→その期間
・取扱説明書に慣らし運転期間の記載がない場合→1000km走行までを慣らし運転の期間」としている。
日産は、「エンジン車には一般的には、エンジン本体や駆動系など、クルマの性能を充分に引き出すためには慣らし運転は必要です。走行距離1600km~2000kmまでは、適度な車速、エンジン回転数で運転してください」。
一方、e-POWERに関しては、「VCM(車両制御モジュール)によって最適にエンジンをコントロールしていますので慣らし運転は必要ありません。
ただし、安全や環境をいたわるためにも、急加速などの無理なアクセル操作を控えることをお奨めします」と回答している。
e-POWERの慣らし運転に関する見解が掲載されている日産のホームページ
スバルは公式ホームページなどで慣らし運転に関する公式な見解はないが、スバル各車の取扱説明書には次の通り明記している。
「1000kmまでの距離を目安にエンジンの回転数は4000回転以下に抑えて運転してください」。
慣らし運転をすることにデメリットは存在するのか?
ここではちょっと視点を変えて、慣らし運転をすることで生じるデメリットを考えてみよう。
それはゆっくり走ることのストレス、丁寧な運転を続けることは面倒で気を使う、ということではないだろうか。
それでなくてもクルマの運転は、いろいろと神経を使うものだ。対向車や左側を走るバイクや自転車の存在、交差点では歩行者信号が赤になっても、駆け足で渡ってくる歩行者がいたりもする。
右左折のために進路変更しようと思えば後続車の存在や車間距離も確認する必要があるし、突然前走車が右折しようと停止することだってありえる。
そうなった場合に、即座にスムーズに車線変更して停止車両をかわしていかないと、たちまち車線上で停止させられて後続車両も詰まってしまうことになる。
もちろん車速にも気をつける必要があるし、前方の信号も変化の兆候を探りながら走らないとせっかく加速しても、大きく減速して赤信号で止まる羽目になってしまう。
運転に余裕がないドライバー、必要以上に気を使いたくないドライバーにとっては、慣らし運転をキチンと行なうことは、それだけで運転時のストレスになりえる。
そうまでして慣らし運転をする意味があるのかと問われれば、運転中の安全やストレス低減のほうが重要視するべきだということになるだろう。
そう考えると、「慣らし運転をするのも新車の楽しみの一つ」と思えるクルマ好きは、慣らし運転をする価値を見出せるだろうが、それ以外のオーナーは「必要ではないなら、やらないほうがいい」と考えるのも当然だ。
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