ベストカーが行った実燃費テストでは最高40.0km/Lを達成
そしてヤリスハイブリッドは、ベストカーの実走テストでも優秀な結果を残した。
テストしたグレードはハイブリッドGで、WLTCモード燃費は35.8km/Lだ。それが郊外モードに準じた走行テストでは、40.0km/Lを記録している。WLTCモード燃費の郊外モードは39.8km/Lだから、これを上まわる数値になった。
実走行の燃費は、市街地モードでは32.3km/L、高速道路モードでは26.8km/Lだから、郊外モードが圧倒的に優れている。
郊外は市街地に比べて発進や停止が少なく、高速道路に比べると空気抵抗を抑えられる。郊外モードの効率がよいことは分かるが、さすがに実走行で40.0km/Lは凄い。
なぜここまで燃費性能が優れているのか?
ヤリスハイブリッドがここまで優れた燃費性能を実現させた背景には、複数の理由がある。
まずハイブリッドを含めて、ヤリスに使われる設計の新しいM15A型直列3気筒1.5L、NAエンジンに注目したい。内径よりも行程寸法の大きなロングストローク型エンジンは、圧縮比を高めて燃料消費量を重視した設定になる。
モーターの付かない1.5L、NAエンジンのWLTCモード燃費も、21.4~21.6km/Lだから、従来から使われる1Lエンジンの20.2km/Lよりも優れている。
フィットが搭載する1.3Lの19.4~20.4km/Lと比べても良好だ。ヤリスが搭載するNAエンジンの低燃費には、CVT(無段変速AT)の高効率も影響を与えたが、エンジン本体の燃費効率も優れている。これがハイブリッドの優秀な燃費性能にも結び付いた。
ハイブリッドシステムも刷新されている。モーターの高出力化と高効率化を図り、潤滑方式も改善して損失を抑えた。パワーコントロールユニットも新規開発され、低燃費制御とモーター出力の向上を可能にしている。
駆動用リチウムイオン電池は充電量を拡大して、減速時に発電した時の回生効率を高めた。放電量も高まり、モーターの駆動力向上に貢献している。
このリチウムイオン電池の進化も燃料消費量の抑制に結び付いた。基本的なハイブリッドシステムは、以前のTHSIIと同様だが、使われる個々のメカニズムは進化を重ねている。
このほか軽量化や各種の抵抗低減も効果を発揮した。注目されるのはヤリスの軽さだ。
ボディ各部の骨格を工夫して、十分な剛性を持たせながら、車両重量を軽く抑えた。ヤリスハイブリッドの車両重量は1050~1090kgだから、ノートXやSの1220kg、フィットe:HEVの1180~1200kgに比べると100~150kgも軽い。
ノートe-POWERやフィットe:HEVのメカニズムは、エンジンが発電機を作動させ、モーターが駆動を担当するものだ。
フィットのe:HEVは、高速巡航時において、エンジンがホイールを直接駆動して効率を一層高めることも可能にしている。これらの複雑な制御が燃費効率を向上させる一方で、ヤリスに比べて重量の増加を招いた面もある。
トヨタは1997年に初代プリウスを発売した時から、THSのシステムを使い続けてきた。熟成を重ねているから、膨大な知見もある。それを昇華させたのが、ヤリスハイブリッドといえるだろう。
ヤリスハイブリッドのWLTCモード走行における二酸化炭素排出量は64~71g/kmだから、先に挙げたEUの95g/kmを大幅に下まわる。フィットe:HEVの79.0~85.4g/kmも95g/km以下だが、ヤリスハイブリッドはさらに少ない。環境負荷を大幅に軽減させた。
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