燃費に執着しないクルマの出現
このあたりにメーカーが気付き、商品開発も見直され、2017年頃になると燃費数値に執着しないクルマが登場してきた。例えば先代CX-5の2WD XDプロアクティブは、JC08モード燃費が18.4km/Lだったが、2017年に現行型が発売された時は18.0km/Lに下がっていた。
ミライースの2WDは、先代型のJC08モード燃費は35.2km/Lだったが、2017年に登場した現行型は売れ筋グレードになるX・SAIIIとG・SAIIIが34.2km/Lになった。
直近では新型ソリオも同様だ。先代型のマイルドハイブリッドの2WDは、JC08モード燃費が27.8km/Lであった。それが新型は22.4km/L(WLTCモード燃費は19.6km/L)まで下がっている。
燃費数値が悪化した理由を各メーカーの開発者に尋ねると、「WLTCモード燃費が導入されたこともあり、お客様の使われ方に合った燃費計測を行うようになった」と述べている。
実走行に即したWLTCモード燃費の導入で、以前に比べるとユーザーの参考になる(それでも格差は生じるが)燃費数値を示すようになった。
まだまだ問題点はある
ただし問題がすべて解決したわけではない。WLTCモード燃費自体は実走行に合った数値だが、燃費基準の基本は、今でも以前と同じく燃費数値と車両重量の関係のみで決まる。
そのために重いボディで燃費数値を向上させると、燃費基準の達成率も高まって減税対象に入りやすいが、ボディをアルミ製に変更して軽量化しても、ひとまわり小さな軽いクルマと同列に比較されるだけだ。
このように今の燃費基準や車両に関する税金は、ハイブリッドのような環境技術に優しく、燃費向上の基本とされる軽量化には厳しい。仮に燃費数値を環境性能と結び付けて税額を決めたいなら、単純に燃料消費量の少ない車種ほど税金も抑えるべきだ。
そのほうがユーザーの理解を得やすい。燃費計測から税額まで、クルマに関する課題は、すべてユーザー目線で行うべきだ。そこに歪みがあるから、不毛な燃費競争をまねいたのだ。
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