セダンを復活させるには「安心と快適」を徹底的に追及すべき
トヨタのある商品企画担当者は「クラウンは、お客様、トヨタ店の皆様、トヨタが一緒に育ててきた商品だと考えている」と述べた。
クラウンを扱うのは、それに相応しい雰囲気を備えたトヨタ店に限られ、顧客もクラウンとトヨタ店に愛着を持つ。クラウンに限らず上級セダンは、専門化された販売体制の上に成り立つ商品だ。
この傾向は、メルセデスベンツやBMWなど、プレミアムブランドにセダンが多いことからもわかる。
ドイツは日常的に高速走行の機会が多く、低重心で高剛性のボディを備えたセダンに対するニーズも高い。そこにプレミアムブランドの専門性も加わり、セダンの需要が維持されている。
かつては日産やホンダの販売店にも系列があり、専売車種も用意したが、全店が全車を扱う体制になるとセダンは衰退した。トヨタもそうなるのであれば、クラウンを特別扱いせずに、潔く廃止する方法もあるだろう。
逆にクラウンを存続させるなら、まずはセダンの価値を生かし、トヨタ店の協力も得て、SUVでは得られない「安心と快適」を徹底追求すべきだ。
クラウンには60年以上の歴史があり、現行型の売れ行きが下がっても、長い歴史の中では小さな浮沈に過ぎない。現行型の思い切った路線変更で把握できた事柄も多いだろうから、そこを補正しながらセダンのカテゴリーで改良を加えていけばよい。
このことはクラウンに限らず、さまざまなセダンに当てはまる。そして「安心と快適」を特徴とするセダンは、衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備、自動運転につながる各種の運転支援機能の進化が著しい今の時代に、まさにピッタリのカテゴリーだ。
今こそセダンの価値を見直すべきだ!
例えば2021年1月28日に日本で発表される予定のメルセデスベンツSクラス。12.8インチの大型ディスプレイが装着された目を見張る新しさを感じさせるコクピット。
そして「ハイ! メルセデス」で起動するMBUXは第2世代に進化し、車両の周囲や乗員のモニタリングまで担うようになった。自動運転もレベル3に対応可能としている。メルセデスベンツという自動車ブランドが総力を結集して開発したこれらの最新装備は、“セダン”のSクラスを皮切りに投入されているのだ。
トヨタにとって、クラウンはまさにSクラスのような存在だと思う。
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