■今もわずかながら存在する「悪徳」セールスマン
それこそ、30年くらい前の“バブル経済”と呼ばれていたころは、できるセールスマンほど、さまざまな“悪さ”ができるほど自由に行動できていたが、いまはそのころに比べればメーカーやディーラー本社の管理が厳しいようにも見える。
事案発生はかなり限定的とはなるが、管理が行き届いているとはいえ、車両代金の持ち逃げや、下取り車の個人転売などが時折発覚することがある。
「車両代金は多額になるので、持ち逃げだけでなく、さまざまなリスク回避から口座振り込みがほとんどとなっています。
歴代の先輩セールスの起こした“悪事”により、正式な領収書はカーボン複写で10枚綴りなど専用のもので、払ったお客が捺印する箇所も2カ所以上となっているそうです。文房具屋などで売っている一般的な領収書を渡されたら、何か悪事を企んでいると考えていいでしょう。
昔は領収書も注文書も1冊単位でセールスマンに渡されていましたが、いまは必要に応じて1枚ずつ手渡されるようになっているところもあります。下取り車は査定額分が現金で渡されたり、別途口座振り込みなどになっていたら、個人転売されていると考えていいでしょう。
ディーラーより高く個人転売してセールスマンが“中抜き”はしますが、お客は少しだけ得することはあっても、損することはまずないですが、売却先によっては名義変更がしっかり行われないまま転売される可能性があります」(事情通)。
細かい所では、「無料サービスのフロアマットが実は純正ではなく汎用品だった」といったことも時々見かけるとは事情通。
「いまどきの注文書はプリントアウトした機械打ちのものとなります。ただ欄外に『マット無料』とか、『カーナビ取り付け含め●万円』などと手書きされていたら、会社を通していないセールスマン個人の動きと疑っていいでしょう。
カーナビなどは正式な手続きを踏んで装着していないと、取り付け保証の対象外となります」(前出事情通)。
ディーラーによっては、あくまで任意として定期的にセールスマンの預金通帳をチェックするところもあると聞く。さらに注文書で下取り車なしの扱いのものは、後日発注者に確認の電話をするケースもあるようだ。
新車の販売環境は時代に対応して変化を見せているが、まだまだ“ニューノーマル”に対応できない、昔気質な“悪さ”を行うセールスマンもいるのが現状。“おかしいな”と感じたり、“違和感”を覚えたら、躊躇せずにセールスマンに確認してもらいたい。
■いつも変わらず存在するのは「ノルマ」
かつてモータリゼーションとも呼ばれ、新車販売が右肩あがりで増え、バブル経済と呼ばれたころには空前の新車販売台数となった。
このようなころには、“とにかく台数を売るのが最優先”ということで、セールスマンの多少の“スタンドプレー”も、社会状況もあり、ある意味黙認され、セールスマンもある程度は自由に動きまわることができた。
しかし、バブル経済崩壊以降の新車販売は断続的な落ち込み傾向が続き、いまでは最盛期の半分ほどの市場規模となっている。こうなると、台当たりで確実に利益を上げなければならないし、コンプライアンスなども重視されるようになり、セールスマンへの管理が厳しくなるのは自然の流れ。
しかし、販売ノルマに追われる日々だけはいまも昔も変わっていない。
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