■認知症の場合は難しいが……
認知症を発症していない、もしくはまだ症状が軽いといった高齢者で正確な運転ができない場合は、その事実を当人が認識することが大切です。しかし、これを素直に受け入れてくれるかどうか? はケースバイケースでしょう。
とはいえ、まず第一にやるべきは正確な運転ができていないことを当人が認識することです。高齢者が運転するクルマの助手席に乗って、「車線をはみ出ないか?」、「ウインカーをきちんと作動させているか?」、「停止線に合わせて一時停止できるか?」、「標識を確認しているか?」といったことを確認し、それらができていないことを当人に認識してもらうことが大切でしょう。
しかし、こうしたことを認めさせるのは容易ではありません。特に長い間クルマを運転してきた人は「若造よりずっと運転が上手い」、「ずっと運転できているのに否定されるのはおかしい」といった意識があります。特に家族などの身内からの指摘には反発することもあります。
自動車教習所などでは独自に運転免許取得者教育というものを行っています。身内ではなく、他人から指摘してもらうと理解してもらえることもあります。
■免許返納すると特典がある場合もある
また、高齢者が免許の返納を行うと、さまざまな特典が得られることがあり、この特典をきっかけに免許返納を促すという方法もあります。
その特典はさまざまで、ホテルのレストランやバー、デパート有料催事の無料化、購入商品の配送料の無料化や割引きなどなど、実に多彩なものが割り引かれるようになっています。こうした特典が魅力に感じる人にとっては、説得力があるものとなりそうです。
■生活にクルマが必要なケースは?
高齢者でも運転を続けている理由はいくつかありますが、生活にクルマが必要だという場合はそれを社会が補う必要があります。クルマ社会が広がったことにより、鉄道や路線バスが廃止になったり、減便されるなどで、選択できる移動手段が減ってきているのでこれらに対応しなければなりません。
東京23区内なら、ある程度近くに駅やバス停などがありますが、そこまで歩いて行くことが困難な方もいます。また、地方にいくとそうした駅やバス停などが近くにないこともしばしばです。コミュニティバスの充実やタクシー利用券の配布なども有効でしょう。
過疎地域での輸送や福祉輸送といった、地域住民の生活に必要な輸送について、それらがバス・タクシー事業によっては提供されない場合に、市町村、NPO法人等が自家用車を用いて有償で運送できることとする「自家用有償旅客運送制度」もありますが、もっと気軽にウーバーのような自家用車を使っての有償運送も地域によっては許可されてもいいのではないでしょうか?
また、自家用車を持っていなくても、利用者の自家用車を代理で運転するというシステムもいいと思います。つまり、臨時に単発の運転手を雇うということです。このようにすればクルマの維持管理に必要な費用は利用者が負担することになります。
この臨時運転手は今でも可能でしょうが、システマチックにすることでより利用しやすくなります。自家用車を用意せずとも、地域で共用するクルマが用意されていても成り立つでしょう。
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