■後席(2/3列目シート)の比較&ランキング
ミニバンの特徴は、前述の通り多人数で乗車できることだ。2列目シートに加えて3列目も大切だが、後者の座り心地には不満を感じる車種が多い。3列目はコンパクトに格納して、自転車などの大きな荷物を積む機能も重視されるからだ。
2列目はミニバンの特等席だから、不満も生じにくいが、3列目は車種によって差が開く。3列目を使って5名以上で移動するユーザーは、3列目の頭上や足元の空間、着座姿勢、座り心地を確認したい。
その意味で後席の1位はグランエースプレミアム(6人乗り)だ。
ほかのミニバンでは、例外なく3列目の座り心地が2列目に比べて劣るが、グランエースプレミアムでは、2/3列目の両方にアルファード&ヴェルファイアの2列目と同様のエグゼクティブパワーシートを装着した。シートのサイズや座り心地は、2/3列目ともに同じだ。
厳密にいえば、3列目は2列目に比べて頭上空間が少し足りないが、むしろセダンのような囲まれ感が生じて安心できる面もある。ほかのミニバンに大人が多人数で乗車して長距離を移動する場合、時々席替えをしないと不公平になるが、グランエースならその必要はない。
後席の2位はオデッセイの7人乗りだ。2列目にプレミアムクレードルシートが装着され、体をスッポリと包む座り心地に仕上げた。床と座面の間隔にも十分な余裕があるため、小柄な乗員は大腿部を押された印象になることもあるが、そこに違和感が生じなければ快適だ。
さらにオデッセイは低床設計だから、3列目の床と座面の間隔にも余裕を持たせた。着座姿勢が自然で、Lサイズミニバンだから3列目の足元空間も広い。座面の長さにも余裕があるので、アルファード&ヴェルファイアよりも快適に座れる。
3位はアルファード&ヴェルファイアだ。国産ミニバンでは、車内の広さはグランエースの次に広く、2列目はシートの造りも優れているから座り心地も快適だ。
ただし3列目は、コンパクトに格納することを重視したからシートの造りが薄い。床と座面の間隔も不足気味で、座面の角度が水平に近いため、足を前方へ投げ出す座り方になりやすい。頭上と足元の空間は広いが、座り心地は安楽な2列目に比べて見劣りする。それでも頭上と足元の空間はタップリしている。
■荷室&シートアレンジの比較&ランキング
ミニバンにとって、荷室とシートアレンジも大切だ。3列目を格納すると、4名で乗車して、自転車のような大きな荷物も積める。
ほかのカテゴリーで自転車を積むと、後席を格納するから2名乗車になることが多いが、ミニバンなら4名乗車時の荷室も大容量だ。また広い室内を生かして、多彩なシートアレンジが得られることもミニバンの特徴になる。
荷室&シートアレンジの1位は、セレナのS(スマートシンプル)ハイブリッドだ。シートアレンジは多彩で、2列目シートの中央部分を前席の間までスライドさせると、収納設備として使える。この時には2列目の中央に空間ができるため、車内の移動もしやすい。
2列目には左右方向のスライド機能も備わり、スライドドア付近のスペースを広げられる。開発者は「お客様はいろいろと工夫して、使いやすいシート配置を見つけている」という。
ただし同じセレナでもe-POWERは、ハイブリッドのユニットを収納するため、2列目中央のロングスライド機能などを省いたから注意したい。
荷室&シートアレンジの2位はシエンタだ。薄型燃料タンクを使うので荷室の床が低い。路面から荷室床面までの地上高は505mmだから、荷物を高い位置まで持ち上げる必要がない。
しかも3列目シートは2列目の下側に収まるから、スッキリと広い荷室になる。3列目を取りはずしたように見える。コンパクトミニバンでも荷室の使い勝手は良好だ。
3位はヴォクシー。3列目を左右に格納する一般的な方式だが、レバー操作だけで跳ね上がり、重いシートを持ち上げる必要はない。2列目のロングスライド機能も使いやすく、トヨタ車らしいキメの細かな配慮が見られる。
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