■日本メーカーの販売店での対応は?
いっぽう、日本メーカーは顧客対応のために、各販売店での充電器の設置を進めている、特にEVを日常使うなかで「すわ“電欠”」という時に駆け込む必要に迫られるときに安心材料となる、急速充電器の販売店での設置状況について問い合わせてみた。
■日本メーカーの販売店充電施設|メーカー/販売店舗総数/普通充電器/急速充電器(店舗数)
・日産/約2100店舗/─/約1900店舗
・三菱/約600店舗/─/553基(約470店舗)
・ホンダ/約2200店舗/─/約180店舗(急速充電器が大多数)
・トヨタ(レクサス)/約6000店舗(176店舗)/4200基(─) 数十基
・マツダ/順次整備を計画中
こうしてみると、提供されたデータの種類が店舗や充電器の数であったりと回答の内容が定まらなかったことを見れば、販売店での施設整備が“発展途上”であることが見えてくる。
それだけ設置を進めることで得られるメリットに関して、EV/PHEVの現状の販売台数が限られていることを考えれば、確かな見通しが立っていないことが見てとれる。
とはいえ、EVであるリーフの販売を積極的に進めてきた日産のディーラーでは、急速充電器の設置店舗の割合は約90%に達しているのは当然といえ、三菱はi-MiEVから始まり(生産は終了)、現在ラインナップするPHEVのユーザー対応として、販売店の約8割に設置されている。
ホンダはホンダeの販売開始により対応店舗を拡大するのか注目だ。
トヨタについてはプリウスとRAV4のPHEV仕様は急速充電に対応(超小型車のC+Podは普通充電のみ)、これにレクサスUX300eが加わっている。
トヨタの販売店で普通充電器が4200基、急速充電器は数十基に留まり、レクサス店では現状の販売店176店舗のうち、概ね1/4で設置もしくは近日中に設置する計画として、今後はさらに増やしていく方向とのことだ。
サービスを含めて、電動化に向けてようやく本格的に動き出したマツダは、MX-30のEV仕様がどれだけ注目されるかによって対応が変わってくるだろう。
■長い目でみるべき水素ステーション
最後に水素ステーションについてわずかながら触れておくと、乗用の燃料電池車両としてトヨタではミライ、ホンダではクラリティ・フューエルセルが利用することになる。残念ながら、施設数が全国で137ヵ所(20年12月)と3ケタ止まりでは、他の“ステーション”とは数の上で比べるべくもない。
燃料電池車(FCV)の乗用保有台数は2019年度末で3695台(トヨタ ミライとホンダ クラリティFCVで占められる)に留まる程度だから、インフラ整備を云々するというレベルには達していないといえる。
当面はトヨタが注力する2代目ミライがどこまで販売台数を伸ばすかが、全般的にはインフラ整備のカギとなるのだろう。
いっぽうで、燃料電池が安定して電力を供給できる定常走行が望ましいとされるFCV独特の特性を考慮すれば、高速道路上で商用トラックが利用する水素ステーションが増加していくことも予想される。
とはいえ、インフラ整備についてのハードルの高さはいうまでもなく、国のグリーン成長戦略といった施策が、気の長い話ではあっても今後十数年でどのように展開されるのかに注目していくべきだろう。
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