長く乗りたいなら厳禁! 無意識のうちにやっている「クルマの寿命を短くする運転」

暖機運転は必要ないが、暖気走行は必要!

エンジン始動後、最低でも5分くらいはゆっくりと走行してエンジンオイルを暖めてから本格的に走るのが好ましい(Luca Lorenzelli@Adobe Stock)
エンジン始動後、最低でも5分くらいはゆっくりと走行してエンジンオイルを暖めてから本格的に走るのが好ましい(Luca Lorenzelli@Adobe Stock)

 最近のクルマは、低粘度のエンジンオイルを採用して、せん断抵抗を減らして少しでも損失を抑えようとしている。そしてエンジンを始動して、アイドリングをしてエンジンを暖める暖機運転は無駄な燃料消費となり、環境に良くないことから控えるように謳っているメーカーも多い。

 条例などでもアイドリングを禁止しているところもあるが、わずかな時間でもアイドリングしたほうがパワートレーンには優しい。

 しかしほとんど暖気運転しなくてもオイル管理さえキチンとすれば、これも寿命を著しく縮めてしまうものではない。それよりも気を付けたいのは、冷間時の加速だ。

 エンジンを掛けてすぐに走り出しても大丈夫ではあるけれど、一気にアクセルを踏んで加速するのはパワートレーン、特に変速機には辛い仕打ちだ。ATやCVTは内部に多板クラッチを使っていて、その制御に油圧を利用している。

 冷間時はオイルの流動性が十分ではないから、油圧不足によってクラッチやCVTのプーリーにかかる油圧が十分ではないと、僅かに滑りながら走行することになり、結果としてクラッチの摩耗やプーリー表面にダメージを与えることにつながるのだ。

 エンジンにしても、冷間時は油圧が上がり過ぎるとオイルフィルターは濾紙の損傷を防ぐためにバイパスバルブからオイルを逃がすようにする。古いオイルで粘度が上昇していると、冷間時にはこうした現象が起こる可能性が高くなる。

 フィルターを通さないオイルだけでなく、フィルター内でキャッチしていた不純物をエンジン内に再循環させてしまうことにつながるので、これもエンジンにとってはダメージを蓄積させる。

 気候や外気などにもよるが、エンジン始動後、最低でも5分くらいはゆっくりと走行して、エンジンオイルやATFを暖めてから本格的な走行に移るようにした方がいい。

フル転舵での急発進は足回りやマウント類にダメージ

ステアリングを大きく切った状態で強く加速すると、エンジンや足回りに通常以上の応力が発生し、マウントやダンパーの寿命を縮めることにつながる
ステアリングを大きく切った状態で強く加速すると、エンジンや足回りに通常以上の応力が発生し、マウントやダンパーの寿命を縮めることにつながる

 前述の駐車時の据え切り自体はメーカーも想定内としても、ステアリングを大きく切った状態での急発進は止めておいたほうがいい。急に向きが変わって周囲が驚くだけでなく、ステアリングを戻す作業が間に合わないと曲がり過ぎて危険なことも理由の1つ。

 さらに大きく転舵した状態で発進や加速をするとパワートレーンには捩れるような力が発生し、エンジンや変速機のマウント類、足回りに通常とは違う応力が発生する。マウントやダンパーなどの寿命を縮めることにつながるから、ゆっくりと加速してやろう。

融雪剤が撒かれた道路を走った後は下回りの洗車を!

雪国では道路に融雪剤を撒いているので、しっかり下回りを洗いたい(Oleksandr@Adobe Stock)
雪国では道路に融雪剤を撒いているので、しっかり下回りを洗いたい(Oleksandr@Adobe Stock)

 寒冷地の都市部では、降雪時などに路面凍結を防ぐために車道に融雪剤(凍結防止剤)を散布するところが増えてきた。路面凍結によって衝突事故が起こるのを防ぐためには重要なことだが、この融雪剤はほぼ塩と言っていいもので、金属の塊であるクルマには大変よろしくない。

 走行によって微粒子化された融雪剤が車体の裏側の至るところに入り込んでしまうから、走行後なるべく早い段階でコイン洗車場などで下回りを洗浄するべきだ。

 自動車メーカーも防錆処理には気を使っていて、足回り部品などは塩水を吹きかけて加温するような試験を行なっているが、実際のクルマではネジ部品回りは締結によって被膜が剥がれてしまうこともあるし、走行中に小石などがヒットすれば、塗装が剥がれてサビのきっかけになる。

 また凍結路や氷雪路では車間距離を長めに取ることも大事だ。制動距離が長くなるためだけでなく、融雪剤は自車が巻き上げたものだけでなく、前走車が巻き上げたものも自車に降り注ぐからだ。気が付いたらエンジンルームがサビまみれ、なんてことにならないように気を付けて走り、走行後は手入れをすることが大事だ。

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