■これから本格化する国産EVは日本ならではの工夫をこらす
日産リーフはすでに2代目となり、現行車は初代のプラットフォームを継承するが、外観の造形や車体寸法、荷室容量などが改良されている。外観は、初代に比べより一般的になり、室内もEVであることをそれほど意識させない普遍的な仕様になった。荷室は容量が増やされ、実用性を向上させている。
実用性で大きく改善されたのがバッテリー容量だ。初代が、24kWhで発売され、マイナーチェンジで容量の増加が行われたが、さらに現行車では、40kWhと62kWhと初期型の1.6~2.6倍に増え、一充電走行距離も322~458kmとなっている。
ホンダeは、ホンダ初のEVだ。エンジン車が前輪駆動主体であるのに対し、ホンダeは後輪駆動とした点が目につく。
それによって最小回転半径は軽自動車のように小回りの利く4.3mを実現している。そもそも都市部での利用を主体に開発されたEVであるため、全長4mを切る小柄な車体と小さな回転半径により、取り回しがいい。
EVとしてだけでなく、未来へ向けた一台として、世界初となる5枚の液晶画面をダッシュボード前面に取り付けたり、ドアミラーの代わりにカメラを採用したりするなど、運転感覚も独特なEVだ。一充電走行距離は259~283kmと割り切っている。
マツダMX-30も、マツダ初のEVだ。ロードスターもMX-5と呼ばれたように、マツダが新たな価値を提案する車種としてMXの車名を使う。通常のSUVと異なるクロスオーバー車として生まれた。ほかに、マイルドハイブリッド車があるが、欧州ではEVのみの販売であり、主力はEVといえるのではないか。
MX-30の特徴は、運転感覚がほかのEVと異なり、あくまでエンジン車の感覚を活かしている点だ。ハンドル裏のパドルシフトを使い、エンジン車でマニュアルの変速を行うように操作すると、回生の強弱など含め、性能を引き出した走りができる。逆にEVらしくないので、好みの分かれるところかもしれない。
MX-30も一充電走行距離は割り切った考えで、バッテリー搭載量を抑え256kmだ。
輸入車と国産車で異なる点として、リーフやホンダeはヴィークル・トゥ・ホーム(VtoH)や、車内の100Vコンセントなどにより、車外へ給電する機能を設定している。
VtoHであれば、日常的に電力消費の制御や管理にも利用でき、自宅に太陽光発電を備えればそこから充電もできる。100Vコンセントを使えば、災害時などの停電に備えることもできる。
自然災害が甚大化する昨今、日本車ならではの給電機能もEVを選ぶ理由のひとつとなりつつある。
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