■日本のタクシーのEV化には壁が
ただ、車種選択の前に、タクシーでのBEV化には大きな壁が立ちはだかっている。
いままでのタクシーならば、ガソリンスタンドでの給油や、ガススタンドでのガスの充填となるので、数分レベルで終了するが、これが“充電”となると、1時間近くは時間を要してしまう。
中国 深圳市ではBEVタクシーの充電が終わるまで待っている間は、“充電手当”をドライバーに支給しているとのことなので、ほかの中国の都市でも同様の措置を取っているようである。
また、北京汽車のフリートセールス専売となるタクシーベースのBEVセダンは、リチウムイオン電池が脱着式となっており、電池のみで充電ができるので、待ち時間がないこともあるのか、タクシーでの普及が目立っている。
ただし、日本国内では1カ所に大量のリチウムイオン電池が集まることになるので、消防法などに抵触するようで北京汽車の車両のようなシステムはいまのところ使えない。
日本でもタクシーのBEV化にあたっては、各事業者において組合などから、充電中の待機時間の対策が大きな議論となるだろう。
日系ブランドで耐久性も含めたコストパフォーマンスの良いタクシーベースとなるBEVが存在しないだけでなく、導入における労使問題も加わり、バス以上に本格導入に際しては困難を極めそうである。
“2030年半ばまでに電動車以外販売禁止”とぶち上げたのはいいが、単純にガソリン車の販売だけ禁止すればいいという問題ではない。
まずは公共輸送機関での、先行しての積極的な車両電動化は一般消費者への電動車のアピールにも非常に効果的であるし、日々街を走っているのだから、温室効果ガス削減にも効果を発揮するだろう。
デジタル化推進と同じで、かなりのレベルで出遅れている日本の車両電動化を一気に進めようするのはかなりの力業が必要。
台湾ではまず自ら(政治家や役人)お手本を、ということで公用車のフル電動化を進めるとのこと。段階的に車両電動化を進め、電動車とはどういうものなのかを、国民にひろく知らしめるためにも、バスやタクシーの電動化(BEV)を進めるのは非常に有効と考える。
海外から訪れた外国人のなかには、日本の空港に降りたつと、“想定外にガソリン車などの排気ガスの臭いがする”と感じるのだそうだ。とにかくここまで出遅れたら、段階的に電動化を進めて整理していくことは大切だと考える。
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