■圧倒的な国内シェアがリセールバリューの安定を呼ぶ
トヨタ車全般的にリセールバリューが安定していることも大きい。最近はトヨタ以外のメーカー系ディーラーでも、残価設定ローンの利用が多くなってきている。そういった理由もあり、リセールバリューを意識して購入車種を選ぶ人が多くなってきたという。
リセールバリューがよければ、残価設定ローンの支払い最終回分として据え置かれる残価相当額が多めとなり、月々の支払い負担が軽くなるからである。
残価設定ローンは顧客の囲い込みに効果的なだけでなく、下取り車の品質維持にも大きく貢献している。月々の走行距離が決められており、支払い最終回、つまり精算時には、内外装のチェックを行い、一定以上の減点があれば追加払いが発生するから、大切に使うユーザーも多いのだ。
そのためセールスマンも闇雲に薦めることはなく、過走行や下取り車を見て、使い方が荒いようであれば積極的には薦めない。
スズキの残価設定ローンでは、メンテナンスパックが標準付帯されるが、これは自社で車両管理をして品質維持を行っていくという意味もあると聞いたことがある。
残価設定ローンを組み、メンテナンスパックを選べば、担当セールスマンは販売した車両の品質がよくわかるので、乗り換え促進も行いやすいといえよう。
トヨタディーラーは、そもそも下取り車はメーカー系オークションに流すのが一般的であった。コンデイションがあまりよくない車両は、別ルートで処分すると聞いたことがある。
残価設定ローンが普及する前から、圧倒的ネットワークを誇るトヨタ系ディーラーから良質な出品車両が集まり取り引きされるので、トヨタ車だけではなく、他メーカー車も当該メーカー系ディーラーでの下取り査定額より、トヨタ系ディーラーで好条件が提示されることも珍しくない。
圧倒的な国内販売シェアをフルに活用し、結果的に自社銘柄車のリセールバリューを高め、これが残価設定ローンの魅力を増し、それが新車販売台数に効果的に影響を与えているのである。
残価設定ローンの普及により、どれぐらいのレベルの品質の下取り車をディーラーが、いつ、どれくらいの台数を引き取りしていて、それがオークションにやってくるのかが把握しやすくなっているので、今は下取り価格の相場形成もしやすくなっているとも聞く。
残価設定ローンは、過去に“リース型ローン”とも呼ばれていた時期もあり、リセールバリューが高いほど魅力が増す。
そのため、残価率維持(リセールバリュー維持)のために、車両本体の値引きを引き締めるといった、“本末転倒”的なことになっているブランドもあれば、国内での販売台数が少ないこともあり、残価率が20%程度しか設定できない輸入車のブランドもあったりする。
トヨタ系ディーラーの残価設定ローンは金利が高めなので(それでもメリットが薄れない)、トヨタ以外の日系ブランドディーラーからは、「金利を下げて対抗するしかない」という話も聞こえてくる。
残価設定ローンだけでなく、現金一括払い派へ向けた“全2回払いローン”の設定。
さらに個人向けリースとはなるものの、任意保険料の高い若者へメリットの大きい定額料金で乗る“KINTO”の設定など、新しい新車の“売り方(乗り方)”をトヨタが提案し、それに他メーカーが追随しているといった図式が目立つなかでは、“トヨタ一強”が顕在化するのは仕方のないことかもしれない。
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