人気車と不人気車で格差も!? 新車のテコ入れ 各社の思惑は? メーカーで違う「狙い」と「頻度」


■少数精鋭ゆえ独自のテコ入れ策を採るマツダとスバル

2016年発表の現行CX-5は、2020年にディーゼルエンジンの出力アップなどパワートレーンに関わる改良を実施。マツダは毎年改良を加える独自の策で商品力を保つ

●マツダ
 2012年に発売された先代CX-5以降のマツダ車(OEMを除く)は、すべて魂動デザインとSKYACTIV技術に基づいて開発される。プラットフォームはボディサイズや車両重量、駆動方式の違いに基づいて複数のタイプを用意するが、基本的な考え方は共通だ。

 従って1車種が新しい機能を採用すると、それをほかの車種にも展開できる。このメリットを生かしてマツダ車はテコ入れを頻繁におこなう。

 例えばCX-5は、2016年12月に発表された後、2017年、2018年(2月と10月)、2019年、2020年に改良を実施した。2018年2月には、発売から約1年後なのに、クリーンディーゼルターボの動力性能を向上させる規模の大きな改良を行った。

 こうなると先に購入していたユーザーは不満を持ち「マツダ車はいつ買えば良いのか分からない」という話にもなる。

 それでも改善を頻繁に施すのは、ユーザーにとって大きなメリットだ。理想をいえば、CX-5は7月頃という具合に、テコ入れの時期をスケジュール化するとわかりやすい。後述するスバルでは、そのようなパターンになっている。

毎年ほぼ10月に改良を施すインプレッサ。2020年には写真の「STIスポーツ」を追加設定した

●スバル
 ほかのメーカーに比べてスバルは規模が小さく、国内の販売台数は、乗用車メーカー8社の中で7位だ。OEM車を除くとエンジンはすべて水平対向4気筒で、プラットフォームの種類も少ない。

 そのためにマツダと同様、新しいメカニズムが開発されると、ほかの車種にも採用しやすい。改良も頻繁に実施される。

 例えばインプレッサは、2016年10月に現行型を発表した後、2017年9月、2018年10月、2019年10月、2020年10月に改良を実施してきた。上記のとおり改良時期が10月でほぼ決まっているから、ユーザーや販売店もわかりやすい。「いつ買えば良いのか分からない」という不満が生じにくい。

 ちなみにスバルは以前から、大半の車種において、生産を終える直前まで改良を実施していた。マイナーチェンジでエンジンを載せ換えることも多い。この背景には、フルモデルチェンジの時にエンジンまで変更すると開発費用が高騰する事情もあるが、改良を頻繁におこなうから時間を経過しても売れ行きをあまり下げない。

 この綿密な商品改良は、車種の少ないスバルが生き残るための大切な戦略で、なおかつ車種が少ないからこそ成り立つ戦い方でもある。

■車種構成再構築の三菱と軽が主軸のスズキ、ダイハツは?

商品改良による販売面で効果の得られる車種が限られる三菱だが、写真のエクリプスクロスはPHEVを追加する大がかりなテコ入れも実施

●三菱
 今はOEM車を除くと車種が大幅に減った。車種構成を再構築している最中でもあり、改良も滞りがちだ。それでも三菱の登録車で登録台数の最も多いデリカD:5は、1~2年に一度は改良を行って特別仕様車も頻繁に設定する。

 逆にRVRやミラージュは滞りがちだ。今は三菱車の売れ行きが全般的に下がったから、商品改良によって販売面で効果の得られる車種も限られる。改良のために投資できるのは、デリカD:5、エクリプスクロスといった一部の売れ筋車種になるわけだ。アウトランダーはフルモデルチェンジが近付いた。

写真はスイフトHYBRID RS。直近では2020年5月に、安全装備の充実を中心とした仕様変更でテコ入れを実施

●スズキ
 軽自動車が中心のメーカーとされるが、2021年1~3月に国内で販売されたスズキ車のうち、20%近くを登録車が占めた。軽自動車需要の先行きがわかりにくいこともあり、今のスズキは登録車にも力を入れる。

 登録車の商品改良は車種により差がある。エスクードは2年に一度の割合で改良をおこない、スイフトも特別仕様車を定期的に設定するが、イグニスはあまりテコ入れされない。バレーノはほとんど手を付けられずに日本の販売を終えた。

 一方、軽自動車は、ジムニーや商用車を除くとエンジンやプラットフォームが基本的に共通だから、改良もおこないやすい。

 しかも薄利多売の商品だから、売れ行きが下がると成立しない。設計が最も古い車種でも、2014年に登場したアルトで、2021年にはフルモデルチェンジされる見込みだ。テコ入れも頻繁におこなわれ、最近は安全装備を充実させて、特別仕様車の追加も頻繁に行う。

ダイハツ車の中では設計が最も古いムーヴも2021年には刷新される見込み。古い設計のまま放置されている不人気車はない

●ダイハツ
 最近はスズキと同様に小型車にも力を入れるが、それでも2021年の販売比率は8%だから、軽自動車が圧倒的に多い。設計が最も古い軽自動車は2014年に登場したムーヴで、2021年には刷新される。極端に設計の古い不人気車はなく、テコ入れは相応におこなわれている。

 スズキと同様、特別仕様車を頻繁に投入して、売れ行きに弾みを付ける。特別仕様車は、価格の割安感をアピールしやすいため、軽自動車やコンパクトカーのテコ入れ方法としては特に優れた効果を期待できる。

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