■期待以上だった車種/トヨタ ライズ
●2021年1~4月の1ヵ月の平均登録台数:8743台
●発売時点の月販目標(月販計画)台数:4100台
ライズはコンパクトなSUVで、2019年11月に発売された。2020年1~6月には、小型/普通車の車名別登録台数で1位になった。
同年8月には同じくコンパクトSUVのヤリスクロスがトヨタから発売され、ライズはユーザーを少なからず奪われたが、売れ行きは今でも堅調だ。2021年1~4月の登録台数はヤリスクロスに近い。月販目標の2倍以上を販売している。
好調に売れる理由は3つある。1つ目は今では貴重な5ナンバーサイズのSUVであること。運転感覚はコンパクトカーに近く、ヤリスクロスと比べても扱いやすい。
2つ目はフロントマスクなどが野性味を伴う悪路向けのSUVを連想させること。最近はハリアーやヤリスクロスのような都会的なSUVが増えて、前輪駆動車でもRAV4のように野性的な車種が注目されている。一種の原点回帰で、ライズもそこに含まれる。
3つ目は割安な価格だ。ライズの価格(2WD)はGが189万5000円、Zは206万円に収まる。ヤリスクロスはノーマルエンジンのGが202万円、Zは221万円だから、ライズは13万~15万円安い。
■期待以上だった車種/トヨタ ヤリス
●2021年1~4月の1ヵ月の平均登録台数:1万955台(ヤリスのみ)
●発売時点の月販目標(月販計画)台数:7800台
コンパクトカーの主力車種で、ライバル車のフィットやノートに比べて登録台数が多い。好調に売れる理由は3つある。1つ目はユーザーの関心が高い燃費と安全装備を充実させたことだ。
ハイブリッドXのWLTCモード燃費は36km/Lだから、日本で購入可能な乗用車では最も優れた数値を達成した。衝突被害軽減ブレーキも先進的で、自車が右左折する時は、直進車両や横断歩道上の歩行者にも反応する。
2つ目は幅広いグレード構成。エンジンは直列3気筒の1Lと1.5L、1.5Lベースのハイブリッドを用意する。1LのX・Bパッケージは衝突被害軽減ブレーキなどの安全装備を省いたから、まったく推奨できないが、価格は139万5000円と安い。
また1LのGは装備が充実して、価格は1.5LのGよりも14万3000円安い。販売店では「走行距離の短いお客様は、法人でなくても1Lエンジン車を選ぶことがある」という。さまざまなユーザーに対応できるグレード構成も好調に売れる秘訣だ。
3つ目は、ヤリスはヴィッツの後継車だから乗り替える需要も多いこと。ヴィッツはネッツ店(全国に約1500店舗)のみの取り扱いだったが、今は前述の通り全店で買えるから、さらに登録台数が増えた。
■期待以上だった車種/トヨタ ヤリスクロス
●2021年1~4月の1ヵ月の平均登録台数:9945台(ヤリスクロスのみ)
●発売時点の月販目標(月販計画)台数:4100台
ヤリスとエンジンやプラットフォームを共通化したコンパクトSUVで、売れ行きは好調だ。SUVの最多販売車種になる。
好調に売れる理由は2つある。1つ目は商品力が高いこと。ボディはコンパクトで運転しやすいが、フロントマスクには存在感があって立派に見える。インパネなどのデザインはヤリスとほぼ同じだが、後席の足元空間はヤリスクロスが少し広い。ヤリスの後席が狭いという欠点を多少なりとも解消した。
2つ目の理由は割安な価格だ。ほかのコンパクトSUVは、基本部分を共通化したコンパクトカーに比べて35~40万円高いが、ヤリスクロスは装備の違いを補正すると、ヤリスとの価格差を実質18万円程度に抑えた。
背景には、ヤリスクロスの価格を高めると、サイズがひとまわり大きなC-HRに近付く問題もあった。ヒエラルキーを考えると、C-HRよりも安価に抑える必要があり、ヤリスクロスは割安感を強めた。
コメント
コメントの使い方