■勝ち組/ホンダ:純利益は6574億円、+44.3%の増益
ホンダの純利益は6574億円、+44.3%の増益であった。2兆2452億円のトヨタに比べると大幅に少ないが、ほかのメーカーよりは圧倒的に多い。トヨタに次ぐ2位となった。営業利益も6602億円でトヨタに次ぐ数字だ。
販売台数は454万6000台とされ、前年度に比べて11.8%減った。北米や欧州における生産台数の減少が大きく影響したが、アジアは前年度に比べて15.3%増えている。特に中国の生産台数は37%増加して過去最高を記録した。このほか販売に要するコストや一般管理費を低減させ、堅調に乗り切った。
ホンダの世界生産台数に占める日本国内の比率は14%に留まるから、堅調な業績も海外によるところが大きい。そして2020年度に国内で売られたホンダ車の内、54%が軽自動車であった。国内の利益を高める上では、もう少し小型/普通車に力を入れる必要がある。
2021年4月23日に発売した新型ヴェゼルは、発売から1ヵ月後の5月23日時点で、月販目標台数の6倍以上となる3万2000台を超えた。内訳を見ると、e:HEVは93%、ガソリン7%。タイプ・グレード別構成比はガソリンGが7%、e:HEVのXが5%、Zが76%、PlaYが12%だった。
このヴェゼルの納期が大幅に遅延している。販売比率が76%に達するハイブリッドのe:HEV・Zは、2021年5月中旬に契約して納車されるのは2021年12月だ。なんと、最上級のe:HEV・PLaYは納期1年待ちの2022年6月になるという。
納期が遅れた根本的な理由は、ヴェゼルの需要を見誤ったことだ。しかも発売が2021年4月23日なのに、3月5日から予約受注を始めたから、納期が一層延びた。そこに半導体の供給不足も加わっている。
またヴェゼルは新型になって、生産を従来の寄居工場から鈴鹿製作所に移した。鈴鹿製作所は、N-BOXをはじめとする軽自動車のNシリーズ、さらにフィットの生産も行う。生産が過剰になったことも、納期が遅延した理由かも知れない。
その一方でフィットの2021年4月の登録台数は、対前年比が37.4%(60%以上の減少)になり、ステップワゴンを下まわった。これも鈴鹿製作所の過密が影響した可能性がある。ホンダの決算は前述の通り堅調だが、国内では、軽自動車への偏りを是正するなど、さまざまな対策を講じる必要が生じている。
■勝ち組/スズキ:純利益は1464億円、+9.1%の増益
スズキの2020年度決算期の純利益は1464億円で、+9.1%の増益、販売台数は257万1000台だ。後者の数字は前年度に比べて9.8%減った。地域別に販売台数の対前年度比を見ると、インドは甚大なコロナ禍の影響もあって7.8%減り、海外販売全体では11.7%落ち込んだ。インドでは今も深刻な状況が続いている。
過去を振り返ると5年前の2015年度の販売台数は286万1000台だったから、2020年度は29万台(比率に換算すると10%)減った。
国内販売は軽自動車の落ち込みが前年度に比べて2.7%と小さく抑えている。そのために従来のスズキの国内販売比率は20%前後だったが、2020年度は25%に上昇した。海外が下がったため、相対的に国内比率が増した。
ジムニーの納期は相変わらず約1年と長いが、届け出台数は、直近の2021年1~4月の平均で見ると1ヵ月当たり4314台だ。発売直後は生産規模が小さく、1800~2000台で推移したから、今のジムニーの生産と届け出台数は2倍以上に増えた。
コロナ禍は世界的な不幸で不謹慎なことはいえないが、最近になってスズキの国内比率が高まった。そのために生産や開発も、以前に比べると日本を向いている。そのために2020年と2020年度におけるスズキの国内販売順位は、ホンダを抜いてトヨタに次ぐ2位となった。
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