■負け組/日産:3年連続の赤字 純利益はマイナス4486億円
2020年度における日産の純利益は4486億円の赤字であった。販売台数は405万2000台で、前年度に比べて17.8%減少している。営業利益も1506億円の赤字だ。
販売台数を地域別に見ると、中国は前年度に比べて13.7%増えたが、そのほかは北米が25.1%、欧州は24.8%という具合にマイナスが目立つ。
日本国内は小型/普通車は18.1%減ったが、軽自動車がルークスのフルモデルチェンジなどによって1.3%増えており、合計すると10.6%の減少に留まった。
それでも2020年度における日産の国内販売順位は、トヨタ/スズキ/ホンダ/ダイハツに次ぐ5位だから、日産の販売総数に占める国内比率も11%と少ない。日産車の約90%は海外で売られる。
そうなると国内販売が堅調でも、日産全体に与えるプラスの効果は小さい。日産は赤字の原因として、コロナ禍、半導体の供給不足、為替変動を挙げている。為替リスクは常に考えられるが、コロナ禍は未曾有の出来事だった。
このような突発事態への対応力、マイナス要因の吸収力において、トヨタとの違いが明らかになった。
日産は過去を振り返ると、第二次世界大戦前から乗用車の生産と販売を軌道に乗せていた。1960年代前半までは、トヨタと同等以上の生産規模を誇っている。この後は労組関係なども災いして、次第に経営を悪化させたが、商品開発では電気自動車に着手するタイミングが早かった。
2010年には世界初の量産電気自動車として、初代(先代)リーフを発売している。
これからはアリアなどの電気自動車が登場するが、10年以上にわたる実績をいかに今後の電気自動車の開発に役立てられるかが注目される。
2020年の世界販売台数ランキングで、日産+三菱+ルノーグループは、トヨタグループ、フォルクスワーゲングループに続く3位であった。電動化の時代に、日産が三菱/ルノーと組んで強い技術力を発揮できる余地は十分にある。それを商品開発と販売実績に結び付ける経営手腕が問われている。
■負け組/スバル:純利器は765億円、純利益マイナス49.9%
純利益は765億円で、前年度に比べて49.9%減少した。販売台数は86万台で、前年度に比べて16.8%減っている。ちなみに2015年度は96万台だったから、近年では売れ行きが約10%下がった。
スバルは水平対向エンジン、シンメトリカルAWD(4WD)といった独自の技術を備えて、運転の楽しさを追求している。
しかもスバル車は、アイサイトの採用など、安全を優先させたうえで運転の楽しさを追求することも特徴だ。この安全優先の思想は、例えばスバルBRZとトヨタ86の姉妹車を乗り比べた時にも感じられ、ユーザーの共感を得ている。
しかしこれはそのまま、電動化の時代を迎える将来の不安な要素にもなる。現時点で水平対向エンジンに組み合わせるハイブリッドシステムのe-BOXERは実用化されたが、メカニズムがシンプルな代わりに燃費は良くない。
例えばフォレスターの場合、e-BOXERのWLTCモード燃費は14km/Lで、3Lエンジン並みの動力性能を発揮する1.8Lターボのスポーツは13.6km/Lだ。ターボと比べて0.4km/Lしか違わず、郊外モードの数値はターボの方が優れている。
直近、2021年はこれから夏頃に新型BRZ、9月頃にアウトバック、10月頃に新型WRX S4、レヴォーグの2.4Lモデルがデビュー予定と、新ラッシュが続くので好転する要素もある。
今後のスバルの電動化への対応は未知数で、スバル車の良さをいかに表現するかも分からない。スバルに限らず、エンジンの回転感覚などが魅力となるメーカーやブランドは、これから試練を迎える。
「電気自動車になった今でも、やっぱりスバル車は違うよね」と思わせる技術力、表現力が問われる。クルマ好きにとって、一番応援したくなるメーカーがスバルかもしれない。
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